物流現場でよく使われる「パレタイズ」という言葉。パレタイズとは荷物をパレットに積むことを指します。

パレタイズはただ荷物をパレットに置けばいいというものではなく、荷崩れしないよう慎重かつ効率的に積み上げなければなりません。積み上げるスピードと安全性が求められる作業ですから、高いスキルを必要とします。

本記事ではパレタイズの意味や積み方、効率的に積み上げるコツを紹介します。

パレタイズとは?

先述したとおり、パレタイズとはパレットに荷物を積み付ける作業のことです。ちなみに、パレットから荷物を降ろす作業はデパレタイズと呼ばれています。

パレットに積む荷物の形状は、ダンボール箱、一斗缶などの硬質箱型形状の物から、不安定になりやすい袋形状、ロール紙など円筒形状とさまざまです。これらの形状が持つ特性を考慮して積み上げなくてはならず、作業者の経験やスキルが大きく影響する作業です。

最近では機械化が進んでいますが、場所や予算の関係から手作業が中心となっている現場も多く見られます。

パレタイズの課題は荷崩れ!

パレタイズで重要なのは、荷崩れを防ぐことです。この作業では、とにかく安定性が重視されます。

一見硬そうに見える箱も積んでみると、潰れてしまうことが多々あります。これでは一方に負担がかかり傾いてしまいます。フォークリフトやトラックでは必ず強い横揺れが発生しますから、搬送時や搬送中に荷崩れを起こします。

ジェンガというゲームを思い浮かべていただくとわかりやすいかと思いますが、偏った積み方をすると少しの揺れでも一気に崩れてしまいますよね。

もしこれが商品であれば商品の破損(割れ・折れ・潰れ)や汚損(外装に汚れ)となり、企業に大損害を与えます。また、周りに人がいれば怪我や大事故につながる恐れもあり危険です。

パレタイズではこのようなリスクを避けるため、荷受けする資材の梱包、箱サイズや硬さなどを熟知し荷崩れを起こさないよう、慎重な作業が求められるのです。

荷崩れなく品質を維持して届けることは、顧客満足度を高められ企業の利益に直結します。

パレタイズにおける貨物の積み付けパターン

パレタイズには、貨物の積み付けにいくつかのパターンがあります。物流企業によって呼び方は異なりますが、下記に紹介する5つのパターンが一般的です。

ここからは積み付けパターンについて解説します。

ブロック積み

ブロック積みとは平積みや棒積みとも呼ばれ、1段目から向きを変えず同じ方向に荷物を並べ積み重ねていく方法です。難易度が低いため作業効率が高くなりますが、上に行くほど安定性に欠けるというデメリットもあります。

ストレッチフィルムと呼ばれるラップのようなもので巻かなければ、荷崩れする恐れがあるでしょう。

ピンホール積み

ピンホール積みとは段ごとに向きを180度変えて積み重ねていく方法です。「回し」とも呼ばれています。

耐圧が弱くなるため重すぎる荷物には向きませんが、重なる重量が均等に分散されますので荷崩れを防ぎます。

真ん中に穴が開く形となりますから、温度管理が必要な商品に最適です。

インターロック積み(交互列積み)

インターロック積みとは、ブロック積みを一段ずつ90度向きを変えて積み重ねる方法です。上端の端以外は揺れに対して強くなるため、運搬中の揺れに高い安定性を得られます。

しかも、ブロック積みと同じく難易度が低めですから作業効率の良い方法です。ただし、1段に並べたときに、正方形になるような荷物でしか実現できません。

レンガ積み

レンガ積みとはその名のとおり、荷物をレンガのように積み上げていく方法です。1つの段で縦横方向を変えて積み重ねていきます。さらに、各段で180度ずつ向きをかえることで、安定性が高くなり、荷崩れを防ぎます。

主に米など袋物に適した積み方です。製造番号や商品名がわかるように積めば管理もしやすくなります。

スプリット積み

スプリット積みとは、レンガ積みと同じような積み方ですが、横向きの部分に下記の図のように隙間(スプリット)ができる方法です。

これは隙間を意図的に作っているわけではなく、荷物の形状や大きさによって自然に隙間ができてしまうものです。

外側に隙間を作ってしまうと、積み重ねていった時に外側に支えがなく荷崩れを起こしやすくなるため、図のように内側に隙間を作ることで荷崩れのリスクを抑えます。

荷崩れを防ぐ!安全・効率的なパレタイズのコツ

ここからは荷崩れを防ぐ、安全で効率的なパレタイズのコツをご紹介します。

重い貨物を下に積む

重さがバラバラの貨物を積み重ねる場合、重たいものを下に積みましょう。軽いものを下に詰むと、潰れてしまう可能性があります。

また、重たいものが下にある方が重心が下がり安定感が増すことで、バランスが良くなります。

ラップ巻き結束バンド固定をする

次に、積み重ねた荷物をラップ巻き結束バンドで固定しましょう。ストレッチフィルムと呼ばれるラップのようなものでぐるぐる巻きにすれば、荷崩れを防げます。

巻く際は、ラップの先端を少し出し荷物に挟み、ラップを持ったまま荷物の周りを回って巻いていきます。巻きが甘いと荷崩れしますから隙間ができないようしっかり巻きましょう。

近年ではパレタイズロボットによる自動化も

ここまでパレタイズについて解説してきましたが、積み上げに関しては、作業員の知識や経験が大きく影響します。

そこで近年導入が進められているのが、パレタイズロボによる自動化です。今まで人の手で行ってきた作業をロボットに任せることで、一定のレベルを保ち、生産性をアップしつつ人的ミスも防げます。

しかも最近のパレタイズロボは、技術進化によりアームの先端で対象物を持つ治工具(チャッキングハンド)などの性能が上がっています。

これによりあらゆる形状の荷物に対応できるようになっています。

とは言っても、パレタイズロボの種類は豊富で、幅広いラインアップの中から最適な機種を選定する必要があります。また、導入にはスペースと費用が必要です。自社の倉庫の設置スペースを確認し、予算なども明確にしておきましょう。

まとめ

本記事では、パレットに荷物を積み重ねるパレタイズについて解説しました。パレットに積む荷物の形状や箱のサイズ、硬さによって積み重ね方が異なるなんて、とても奥が深い世界ですよね。

パレタイズを通して物流業界に興味を抱く方もいるのではないでしょうか。

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