近年、ビジネスの場でよく使われるようになった「DtoC」という言葉。

Direct to Consumerの略で、中間業者を介さずに、メーカーが自社ECで顧客へ直接販売するビジネスモデルを指します。もともとアメリカで生まれ、2015年ごろから日本でも注目されるようになりました。

本記事ではそんなDtoCについて、意味やBtoCとの違い、注目される背景、事例などを紹介していきます。

DtoCとは?

冒頭で述べた通り、店舗や卸といった仲介業者をはさむことなく、メーカが自社ECで顧客へ直接販売するビジネスモデルをDtoCといいます(D2C、メーカー直販とも)。

日本では2015年ごろから、主にアパレルや美容、食品といった業界で導入されるようになりました。売れるネット広告社の調査によると、DtoCの市場規模は2022年に2兆6,000億円、2025年には3兆600億円にもなるとみられます*。

*:売れるネット広告社/デジタルDtoC市場規模、2025年には3兆円に達すると予測

DtoCとBtoCの違い

DtoCと混同されやすいのがBtoC。BtoCはBusiness to Consumerの略で、企業と一般消費者の間で行われる商取引を指します。スーパーやコンビニ、旅行会社などが代表的です。

DtoCとの大きな違いは、商材をメーカーや卸といった中間業者から仕入れて販売する点です。製造元が直接販売するとDtoC、製造元でない第三者が販売するとBtoCと捉えておきましょう。

DtoCが注目される背景

なぜDtoCが注目されているのか。これには以下のような背景があります。

SNSが普及したこと

1つめは、SNSが普及したことです。これにより、企業と消費者の距離が一気に縮まりました。

TVや新聞へ広告を出したり、自社のWebサイトを作ったりする従来のやり方だけでは、消費者とのつながりは限定的なものでした。しかし、TwitterやInstagram、LINEといったSNSが状況を一変させます。

商品の特徴や強み、ブランドの世界観や歴史などを、企業は消費者へ直接発信できるようになったのです。なおかつ、投稿に共感した消費者はコメントをしたり”いいね”を付けたりといった、直接のリアクションができるようになりました。最終的に消費者は商品を購入し、さらにそれを周りにシェアします。

このように、企業と消費者が容易に関係を深め合えるようになったことで、企業は直接販売のための接点を作りやすくなったのです。

ECサイトを手軽に運用できるようになったこと

2つめは、ECサイトを手軽に運用できるようになったことです。

特にクラウドサービスの登場により、費用面でも技術面でもハードルが低下。このおかげで、大手企業はもちろん、リソースの少ない中小企業も自社ECを構えやすくなりました。

カスタマイズ性の貧弱さはクラウドサービスの弱点でしたが、最近ではかなり改善されており、ブランドの世界観をフルに表現できるようになっています。

DtoCのメリット

次に、DtoCのメリットを解説します。

独自のマーケティング施策を打てる

第一のメリットは、独自のマーケティング施策を打てること。

楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングのような大手ECサイトを使う場合、キャンペーンや規約面においてECサイト運営の意向に従わなければなりません。一方、自社EC内であればこのような制約がなく、独自の施策を自由に企画・実行できます。

価格競争に巻き込まれにくい

2つめのメリットは、価格競争に巻き込まれにくいこと。

大手ECサイトでは検索結果に他社商品も多数表示されます。その中で比較検討するとなると、価格は大きな判断材料となり、どうしても安い方へと消費者は流れがちです。

しかし自社ECであれば、自社の商品だけが消費者の目に入るため、競合を気にすることなく価格設定が行なえます。

中間マージンや手数料を削減できる

3つめは、中間マージンや手数料を削減できること。

大手ECサイトへ出店すると、基本料金が数千円~数万円・手数料が商品代金の10%前後・その他オプション料金といった費用が毎月発生し、その分利益も減ってしまいます。

DtoCなら、こうした費用が発生しません。決済手数料やサーバー代といった別の費用はかかりますが、大手ECサイトを利用するよりは安く抑えられます。

DtoCのデメリット

DtoCにはメリットばかりでなく、次のようなデメリットも存在します。

①集客を自力で行う必要がある

第一のデメリットは、集客を自力で行う必要があること。

大手ECモールに出店する場合、月間ユーザーが数千万人にもなる強力な集客力を活用できます。手数料がかかったりマーケティングに制約があったりする反面、顧客獲得の労力や時間を大幅に抑えられるのです。

しかしDtoCの場合、そうはいきません。自分たちでゼロからアクセスを集めて購入へつなげなければならず、相応のマーケティングノウハウが求められます。独自の施策を打てる=独自に施策を打たなければならない、ともいえるわけです。

②売上が安定するまでに時間がかかる

2つめのデメリットは、売上が安定するまでに時間がかかること。

商品やブランドを知ってもらい、ECサイトに誘導し、実際に商品を買ってもらい、最終的にリピーター化してもらう。この流れはすぐに組み立てられるものではありません。目標数を達成し、売上を安定させるとなればなおさらです。

したがって、中長期的な視点でじっくり取り組むことが、DtoCには肝要です。

DtoCの事例

ここからはDtoCの事例を紹介します。イメージを掴むための参考にどうぞ。

株式会社セイバン/ランドセル「天使のはね」

CMでおなじみのランドセル・天使のはねを製造販売している株式会社セイバン。全国の小売店にて販売するだけでなく、自社ECでのDtoCにも取り組んでいます。

ECでは通常モデルのほかに直営店限定モデルも取り扱い、都市部以外の消費者にもさまざまな選択肢を提示。6年間の修理保証や修理期間中の無償貸出といったアフターサービスも充実しています。

ベースフード株式会社/完全栄養食「BASE FOOD」

1食に必要な栄養素をパンやパスタに詰め込み、味の良さも両立させた完全栄養食・BASE FOOD。商品を完成形に近づけるために、消費者の声を直接聞けるDtoCを、業界に先駆けて導入しました。

また自社ECでは、単品やセットのほかにサブスクも提供しています。サブスクによる囲い込みはDtoCと相性が良く、食品や化粧品などのジャンルで取り入れる会社が増えています。

まとめ

今回はDtoCについて、意味や注目される背景、メリット・デメリット、事例などを紹介しました。

長引くコロナ禍によって店舗ビジネスが売り上げを落としている昨今、ECで直接販売するDtoCはますます注目を浴びています。そんなDtoCを物流面で支えるのが、当ブログを運営する富士ロジテックホールディングスです。

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