年を追うごとに加速する物流ニーズに対応するため、物流業界にもスタートアップやベンチャー企業が続々と参入しています。その存在感を高めているのが、物流業務にITやAIなど最新テクノロジーを用いた「物流テック」です。
物流業界で深刻化する人手不足の解消策として、テクノロジーを活用した業務効率化を実現。独自のサービス展開やシステム開発で、サプライチェーンの最適化を進めています。
本記事では、この物流ベンチャーにクローズアップし、日本の物流テックの現状について紹介していきます。
物流業界は中小・ベンチャーが90%以上を占める
国土交通省が令和2年度に公表した資料「物流を取り巻く動向について」によれば、トラック運送事業の99.9%を中小企業、ベンチャー企業が占めています。
また、国内の物流事業全体の市場規模はおよそ24兆円、このうちの16兆円がトラック運送事業となっています。
中小企業が99%を占める物流業界では、少子高齢化やEC市場の活況による業務量の増加で、人手不足か深刻化。特に、国内輸送を支えるトラックドライバー不足は、大きな社会問題となっています。
また、物流6大機能(荷役・輸送・保管・包装・流通加工・情報管理)や受注処理、在庫管理などを行う物流施設でも人手が不足し、一人にかかる負担が大きくなっている状況です。
「物流テック」に取り組むベンチャー企業が注目されている
前述したように、人手不足が深刻化する物流企業で期待されているのがテクノロジーを活用した業務効率化です。
ドライバーと軽貨物の荷主をつなぐマッチングアプリ「PickGo」、自動運転で商品を配送する「Gatik AI」など、最新ツールが続々と登場。
物流倉庫では、自動仕分け機やロボットアーム、ADV(無人搬送車)、AMR(自立走行ロボット)などを導入し、業務の省力化や自動化、無人化を実現しています。
このような、物流とITとを融合した物流テックを提供するスタートアップ、ベンチャー企業の存在感が高まっています。AIや最新テクノロジーの活用で、物流課題をどこまで解消できるか、期待されます。
物流テックとは?
前項でも触れましたが、物流テックとは、物流業務にAIやITなど最新テクノロジーを活用した新しいビジネススタイルのことです。
テックはテクノロジーの略で、物流テックは、物流とテクノロジーを掛け合わせた造語になります。
IT技術によって、これまで人の手で担ってきた業務の省人化・自動化を実現。
重労働で負担が大きかった業務も、IT技術の進化とともに自動化され、生産性や効率を飛躍的に向上させています。
物流テックの活用で、今以上に便利なシステムや機能性の高いサービスが登場すれば、物流業界が抱えるさまざまな課題を解決できるはずです。
IT技術の進歩は、確実に物流業界全体の市場規模拡大に貢献すると考えられています。
ベンチャー企業による物流テックが注目される理由
ここからは、ベンチャー企業による物流テックが注目される理由について、さらに深掘りしていきましょう。
物流需要の増加
まずは物流需要の増加です。経済産業省の資料「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」によれば、Amazon、楽天市場などのBtoC-EC(消費者向け電子商取引)は、9年連続上昇傾向にあります。
また、ここ数年は新型コロナウイルスによる外出自粛の影響から、インターネットでモノを買う人が増え、物流量が急増しています。
この結果、倉庫や配送業務の負担も激増している状況です。
人手不足
前述したように、ネット通販の急伸で業務量が増加している物流施設では、人手不足が深刻化しています。その原因として挙がるのが、少子高齢化です。
日本は現在超少子高齢社会であり、どの業界でも人手が足りていません。しかも、人手不足は今後も、今以上に加速していくことが予想されています。
このままでは需要と供給のバランスが取れなくなり、物流が正常に機能しない恐れさえあるのです。このような背景から、物流ベンチャーによる物流テックへの注目が高まっています。
環境問題
昨今、深刻化する地球温暖化、大気汚染問題への関心の高まりから、トラックが排出するCO2の排出抑制が強く求められています。
排出ガスを減少させるには、無駄なガソリンの消費を抑えて運転することが大切です。しかし、最近問題となっている再配達の増加は排出されるCO2の量を増加させる要因となっています。
また、長時間にわたる荷待ち時間も、排出ガスを増加させる原因です。荷待ち時間とは、倉庫や荷主の都合によって、ドライバーが待機していることです。
すでに倉庫に着いていても、他のトラックが積み込み作業をしていれば、待たなくてはなりません。
このような問題を解決に導くために、GPSなどのセンサー技術を用いた動態管理システムが登場しています。
また、到着前に物流倉庫の混雑状況や待ち時間を把握できるアプリ(truckcall)なども開発され、すでに活用されています。
物流テックの例
ここでは、最新の物流テックの例を一覧で紹介します。
WMS(倉庫管理システム) | バーコードやRFIDを活用して業務を効率化。音声認識システムの利用など。
音声ガイダンス、無線ハンディを使用したオペレーション「VIPS」 |
TMS(配車管理システム) | GPSや地図ソフトを活用し、配車計画や運行計画の管理を行う。配送業務・輸送業務を効率化。 |
ドローン配送 | 小型の無人飛行機で、品物を運ぶ。実用化に向けて取り組みが進む。 |
バース予約システム | スマホなどを活用し、入荷先/出荷先へ予約できるシステム。トラックの待ち時間を削減。 |
また、上記の他に「配送網や物流拠点配置を最適化」するためのアプリやシステム開発も進められています。
富士ロジテックグループの物流テック
当ブログを運営する富士ロジテックグループでも、物流テックを導入し業務効率化に取り組んでいます。
当グループの中でアパレル物流をメインとしている(株)富士ロジテック・ネクストの東名厚木物流センターでは、音声ピッキングシステムを導入し、未包装品の取扱生産性を1.4倍にまで引き上げました。また、同施設ではソーティングロボットを導入することで少人数・短期間・大量仕分け作業を実現しています。
さらに、サトーがライセンスを持つ音声検品システム「AMIVOICE」と自社のWMS(倉庫管理システム)パッケージシステムを組み合わせ、カスタマイズした「VIPS」を共同開発しました。
新システムを自社で導入後、導入以前比で約20%のコストを削減。現在はその運用の成果がさらに上がっています。
同社では、新システムを開発・導入するだけではなく、外販できる体制も整えています。
まとめ
本記事では、物流ベンチャーにおける物流テックの現状を解説しました。
物流業界は、「トラック=力仕事」というイメージがある方も多いと思いますが、実際には最新技術を用いたテック導入が積極的に行われる先進的な業界です。
当社でも、最新テクノロジーを活用した物流テックを、開発・導入しています。もし物流ベンチャーや物流テックにご興味のある方は、本ブログを運営する富士ロジテックグループで働いてみませんか?
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