「波動」と聞くと「波のようなもの」といったイメージを持つ方が多いでしょう。物流業界でも、物量の変動を波に表した用語として使われます。

この波動というのがやっかいで、物量のアップダウンに対する人員数や保管面積などのリソース最適化は、物流各社にとって大きな課題です。

本記事ではそんな波動について、意味や問題点、対策例などを解説していきます。

物流における波動とは?

物流業界における波動とは、時期や時勢、施策などによって上下する、物量の波のこと。例えば「波動が大きい」というと、物量の変動が大きいことを意味します。

そして、波のアップダウンに応じてリソース配分を調整し、高い業務効率を維持することを「波動対応」と呼びます。波動対応は生産性や顧客満足度に関わる重要な仕事。なおかつ、バラつきがあるだけに、物流各社にとって悩みの種になりやすい分野でもあります。

波動の要因

波動を生み出す要因は、以下のようにさまざまです。

・季節:お中元やクリスマスといったイベント商戦
・周期:週・月・年のサイクル需要。週末対応、年末年始対応など
・施策:セールやWeb広告、SNSキャンペーンなど
・時勢:災害や情勢不安など

要因は1つとは限らず、複数が絡み合うケースも多々あります。例えば、イベント商戦+週末+キャンペーンなど。

また、災害のような自力ではコントロール不可なことが重なると、波動対応はいよいよ難しくなります。昨今の例だと、コロナ禍によるマスク特需あたりが代表的です。

物流波動が現場業務に与える影響

物流各社は波動対応のために、繁忙期の大物量をさばけるだけの倉庫やトラック、人員を保有しています。ただ、閑散期にはこれらのリソースに遊びが生まれ、ロスが発生してしまうのです。忙しい日と暇な日、忙しい時間と暇な時間でも同じことがいえます。

物量が自社のキャパシティを超えると、配送遅延やミス増加といったトラブルも発生しやすくなるでしょう。

物流コストにはこうした事情も反映されるため、波動は自社のみならず、取引先や顧客にも影響があるわけです。

物流波動への対策(波動対応)の例

波動対応に強くなると、前述の影響を抑え、生産性や顧客満足度の高い仕事ができるようになります。では、具体的にどんな対策があるのか、以下に例を紹介します。

応援の人員を素早く確保できる仕組み

ピーク時に合わせた人員を常時配置しておくのは現実的ではありません。

ですので、足りなくなった際に応援を素早く確保できる仕組みを整えておくのが大切です。例えば、近くの営業所から応援を要請する、派遣会社を利用するなど。

ただ、都市部ならともかく、地方だと難しいケースも多いのが現状です。

複数の業務をこなせるようにする教育

従業員が複数の業務をこなせるようになると、閑散期に何もすることがないといった事態を防げますし、繁忙期には最も人員が必要な作業へフレキシブルに対応できます。

波動の合間には、このための教育も実施できると良いですね。

物流拠点の最適化

不必要に物流拠点が分散していると、在庫の重複や輸送動線のムダ、管理の煩雑化などにより生産性が上がりません。逆に拠点が足らないと、保管スペースの不足やキャパシティ超過といった問題が生まれます。波動が重なるとなおさらです。

そこで、自社にとって最適な拠点配置とオペレーションの整備を行う、物流拠点の最適化が波動対応に有効となるのです。

物流拠点最適化については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひお読みください。

波動の要因となる情報の共有

波動の要因は前述した通りですが、これらの情報が現場にまで回っていないケースがしばしば見られます。入荷情報やイベント情報、セールや広告といった施策情報などが分からないと、現場の従業員は計画を立てられず、非効率な作業を強いられることになります。

波動に関する情報は現場レベルにまで浸透させ、前もって対策できる体制を構築するのが重要なのです。

まとめ

今回は物流における波動について、要因や問題点、解決策などを解説しました。

波動対応に秀でた会社は、常に高い生産性をキープでき、顧客からも高く評価されます。ただ、世の中には移り変わりがあるため、毎月・毎年同じ対策を取れば良いわけではありません。日々の情報分析を通じて、波動に対して先回りの対策を講じなければならないのです。

物流業界では、このような戦略的な視点も求められます。これを面白そうと思われた方、これまでの知識や経験を生かして弊社で活躍しませんか?

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