最近、「SCM(サプライチェーンマネジメント)」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。

1990年代から日本の多くの企業に取り入れられ、2000年頃にブームとなったSCM(サプライチェーンマネジメント)ですが、グローバル化や労働人口の変化を理由に近年改めて注目されています。

本記事では、SCMの仕組みや基礎知識を解説し、ERP(企業資源計画)との違い、導入メリットや実例などを紹介していきます。

SCM(サプライチェーン・マネジメント)とは

SCM(サプライチェーンマネジメント)を知るには、まずサプライチェーンという概念から理解しなければなりません。

サプライチェーンとは?

サプライとは「供給」、チェーンは「鎖」の事です。つまりサプライチェーンとは「供給連鎖」という意味になります。

より具体的にいうと、原材料や部品の提供業者から製造業者、メーカー、流通、物流、販売業者等、全行程を指す名称です。

1つの製品が消費者の手元に届くまでには、原料調達、製造、物流、販売といった過程があります。この過程に携わっている全業者がサプライチェーンに含まれます。

一方で、お金の流れや情報は、商品の流れとは反対方向に流れていくのが特徴です。

サプライチェーンマネジメントとは?

SCM(サプライチェーンマネジメント)は、サプライチェーンをすべてを巻き込んで、企業間物流の最適化を図るものです。

従来、製造・物流・販売という一連のフローは独立した行程と考えられ、各事業者が担当していました。それぞれが、その事業者の都合のいい方法を希望し、選択していました。

しかしこれでは、顧客の消費動向の流れに沿った柔軟な対応が難しく、手間も時間もコストも余分にかかるなど、合理的ではありません。

そこで原材料調達から販売までに携わる各社が連携し、情報共有することで、必要なものを、必要なときに、必要な数だけつくるジャストインタイムの実現を目指すことを目的とした動きが活発化しています。

これまで物流は後回しにされてきた分野でしたが、改善するとコスト削減や効率化による生産性が高まり利益を生み出す部門として注目されています。

SCMの歴史・背景や改めて注目される理由とは?

SCM(サプライチェーンマネジメント)が生まれた背景や近年改めて注目されている理由を、さかのぼって簡単に解説します。

日本で物流という概念が生まれた背景

日本では、1950年代まで輸送や保管という仕事は、単独で提供されていました。朝鮮戦争の際、朝鮮戦争特需をきっかけに「大量生産・大量消費」が始まり自動車輸送が急拡大しました。

物流は、多品種大量輸送が求められ、それを可能にするには、輸配送と荷役・保管・包装などを効率よく管理し、周辺業務との連携が必須として「物流」の概念が取り入れられていきます。

この時期にようやく運送会社が倉庫を構え在庫管理や、流通加工を請け負うようになりました。

物流コストが企業経営を圧迫

1980年代後半から、それまでの大量生産・大量消費の時代が終わり「量から質」の時代に突入します。これが現代につながる多品種小ロット生産時代の始まりです。

その結果、多頻度小口配送となり積載効率は悪化、生産コスト・物流コストが企業経営を圧迫し始めます。

そうした点を問題視し活用されているのが、企業内物流の最適化「ロジスティクス」です。1990年バブル崩壊で景気が低迷すると、物流の効率化やローコスト化を求める動きが厳しくなってきました。

そこで90年代半ばにトヨタ生産方式の「かんばん方式※」を手本に米国企業「Booz Allen Hamilton Inc.(ブーズ・アレン・ハミルトン)」のキース.R.オリバー氏とマイケル.D.ウェバー氏によって、1982年に発表されたのがSCMです。

トヨタ生産方式のかんばん方式は、必要なものを、必要なときに、必要なだけ作ることを目的にジャストインタイムを実現するために、連続する工程間の仕掛在庫を最少にするための生産方式

物流やロジスティクスの段階では、企業内物流効率化の取り組みですから範囲が自社内に限られてしまいます。

しかし、SCMでは範囲が広がり原材料を供給するサプライヤーから生産・販売・商品供給をまでの全行程を一気通貫し最も効率よく管理する「全体最適」を求めるものです。

改めて注目される背景とは?

2000年にブームとなったSCMが再び注目される背景には、以下の3つの理由があります。

企業のグローバル化

1つ目の理由は、経済や企業のグローバル化です。

インターネット技術が加速し、多くの企業がグローバルにビジネス展開するようになったことで、従来の物流システムでは競合他社に遅れをとってしまう。このような背景から調達、生産、販売の世界規模のネットワークが構築され、サプライチェーン全体の効率化・最適化を図る需要が広がっています。

労働環境や人口の変化

2つめの理由は、国内の少子高齢化による労働人口の減少です。近年日本ではさまざまな業種で人手・人材不足が深刻化しています。

特に物流業界では、トラックドライバーなどの現場の働き手の人材不足が課題となっています。各企業はより効率的な物流の在り方を見直さなければならない状況です。

SCMにより、トラックの積載効率の向上や仕入れ量の適正化を図り、卸売企業や販売店舗などへの配達のタイミングを最適化する取り組みが注目されています。

ビジネスモデルの変化

3つ目の理由はビジネスモデルの変化です。

近年、アマゾンや楽天市場などのEC市場が拡大する中、新型コロナウィルスの影響でこれまで実店舗のみで対応していた企業もEC市場へ進出する動きが活発化しています。

もはや販売と配送が切り離せないビジネスモデルが増える中、SCMによる統合的な管理体制を構築しさらなる効率化と最適化を図るニーズが高まっているのです。

SCMとERPの違い 

SCM(supply chain management)とERP(enterprise resource planning)は、混同されがちなビジネスワードです。

まず、SCMは前述したとおり原材料の調達から製造・販売・供給までの連鎖サプライチェーン全体を最適化することを指します。各社が協力することで、無駄を省き費用対効果や生産性を高める管理手法です。

一方で、ERPとは企業に必要なヒト(人材)、モノ(製品やサービス)、カネ(資産)、情報(顧客データ等)という経営資源を最大限に有効活用するために総合管理し、経営の効率化を図るための手法です。

SCMのような原料の調達〜供給までと限定されず、 SCMを含んださらに大きな意味での効率化を指します。

ERPの概念を実現するには経営上必要な基幹系システムを総合的に提供するERPシステム(※)が不可欠です。

※ERPシステム:企業経営の基本となる資源要素(ヒト・モノ・カネ・情報)を有効活用するために必要な会計・調達管理・受注管理システムなどを指す。

ERPシステムを活用し企業資源を可視化することで、「ヒト・モノ・カネ・情報」の状態を常に確認することができます。これらを最適化することは、SCMの効率化を図る上でも重要な要素となるのです。

SCM導入のメリット

SCMを導入するとさまざまなメリットがありますが、中でも効果的なものは以下の3つです。

①在庫を最適化

SCMを導入することで在庫を最適化することが可能です。

企業は自社で在庫管理を行っていますが、SCMの川上企業であればあるほど消費者の動向を把握しづらく、流通段階の直前の業者からの情報を元に在庫水準を定めています。

小売は欠品を避けるために卸業者へ多めに発注し、卸業者はその上振れした受注数を需要動向としてとらえます。そしてさらにメーカーに対して多めの発注をするはずです。メーカーは余裕を持って在庫を確保するため、さらに多めの生産をし、結果サプライチェーンで余剰在庫が生まれてしまいます。

この現象は「ブルウィップ効果」と呼ばれ、小売業が抱えている消費動向データが、川上の企業に正しく伝わっていないことで生じます。

そこで、SCMを導入し川上から川下まで情報を共有すれば、余分な在庫が生まれず必要な時に必要な分だけ供給できるジャストインタイムの実現可能となります。

無駄な在庫を省くだけでも、コストの大幅削減となり利益率が向上するでしょう。

②人的リソースの有効活用

SCMを導入し在庫管理が適切になると、やみくもに生産したり経費をかける必要がなくなり人的リソースを有効活用できるようになります。

また、情報を一元管理することで、「どの業務に人的リソースを割けばいいのか」を明確に把握できます。そうすることで、必要な場所や時期に必要なだけ人的リソースを投入するこことができるようになります。

③コスト削減

SCMの導入で、在庫状況をサプライチェーン全体で共有し、人的リソースを有効活用すると今までかかっていた無駄なコストを大幅にカットできます。

仕入れの適正量や積載効率のアップで、仕入れから供給までの流れを最適化することが可能です。このため、物流にかかるプロセスのコスト削減に成功し、利益率の向上を見込めます。

SCMの実例

ここまでSCMについて解説してきましたが、SC全体の最適化に向けた当社富士ロジテックグループのサービスを利用し改善された実例を紹介します。

調達生産情報管理でサプライチェーンの上流工程をロジ改革で最適化

照明器具メーカーC社様は工場での生産・組み立てに必要な原材料や部材、部品などの物流を、各サプライヤーに委ねていました。

そのため、工場では荷受け業務が煩雑化していたほか、サプライヤーが仕立てるトラック1台当たりの積載効率が低く、その無駄に生じているコストが納品される原材料や部材、部品の調達価格に反映されている、といった問題点が生じていました。

そこで当社から以下のようなSCMの改革プロジェクトをご提案いたしました。

  1. 出荷拠点の近いサプライヤー同士の輸送の共同化
  2. 原材料や部材、部品の在庫管理業務の外注化
  3. 工場構内での運搬業務を対象にした改善活動の展開

サプライヤー各社様にもご協力いただき、工場までの輸送の共同化を実現し、トラックの積載効率をアップ。

工場への納品トラックの台数を減らすことができたため、工場では荷受け業務が簡素化されました。

また、在庫管理業務を当社にアウトソーシングしたことで、管理費の変動費化や棚卸精度の向上を実現しました。工場内においては、改善活動を通じて生産ラインへの供給動線の効率化に成功しました。

「調達・生産情報管理」の詳細はこちらから

(記事でSCMの話題が出たページのリンクを添えていただきたいです)  

まとめ

本記事ではSCMの概念や歴史、再注目される背景、導入するメリットなどを解説しました。

サプライチェーンを行うためには企業間を超えて改善する必要があり、導入が困難な企業も多くあります。どのような仕組みを提案するのか、誰がパイオニアとなりマネジメントするのかが非常に重要です。

そのため、当社のような物流・商流・情報のオルガナイザー(構築者)として、ロジスティクスとテクノロジーの融合による物流サービスを展開する企業の存在が不可欠です。

現在当社では、新たな物流スキームの企画・提案、物流センターにおけるマネジメント全般などに携わる人材を募集中です。

従来の物流の常識にとらわれることのない新しい発想を提案したり、最新の技術をキャッチして取り込みながら、企業の命運を握るともいわれる物流事業を、自らの手で企画設計したい方を求めています。

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