通関業務は海外とモノをやりとりするために必要な仕事です。私たちが何気なく手にしている海外製品は、すべて税関を通過しています。もちろん製品を国外へ輸出する際にも税関を通すための関税手続きが必要です。
税関や関税という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、通関業務の具体的な仕事内容は?と聞かれるとはっきり答えられる方は少ないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、グローバル化が加速する中、国際物流になくてはならない「通関業務」について業務内容や流れ、物流における重要性などを解説します。
通関業務とは?
通関業務とは、輸出入を行う企業に代わり税関官署へ税金の申告をしたり、、配送の手配をしたりする仕事です。
他国と品物を輸出入する際、必ず税関で申告し検査を受け許可を得なくてはなりません。許可を得ないで輸出入した場合は「密輸」になってしまいます。
とはいえ、複雑で専門的な通関手続きをメーカーや商社が都度自社で行っていては大変です。そこで、こういった手続きをスムーズに行なうために、通関業者が代行します。通関業者は、財務大臣から許可を得て、輸出入を行いたい企業の代わりに、通関で必要な手続きを代理で行います。
通関業務の内容
通関業務の主な内容は以下のような申告代理や税関調査です。
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- 輸入・輸出に関係する取引書面のチェック
- 関税・消費税などが発生するかの判断や税金の計算
- 関税の減税・免税などの手続き
- 税関官署に対して、不服がある場合の代理申立
- 税関検査の立ち合い
- 国内外配送の手配
- 通関書類の作成
通関業務の中心的な仕事は通関書類の作成です。
輸出入では、それぞれの申告書や仕入書(インボイス)、船荷証券、法令などの許可を得た証明書など多くの書類が求められます。
書類にミスがあると税関で許可が下りず、入荷が遅れるなどの大きなトラブルを招きます。通関業務は必要書類を正確に作成することが重要な役割です。
通関業務を行う国家資格には「通関士」がありますが、通関業務は必ずしも資格が必要なわけではありません。通関士の資格がなくても、従事することができます。
「通関士の仕事とは?資格取得方法や物流業界における通関士の役割を解説」
通関業務の流れ
ここからは、通関業務の流れを解説します。
輸出関連業務の流れ
輸出関連業務は日本にある品物を他国へ送る手続きがメインです。
- 品物を積載する船や航空機を手配する
- 保税蔵置場に貨物を搬入する
- 管轄の税関官署に申告
- 税関に輸出申告する
(輸出申告書や他法令関係書類を提出) - 審査ののち許可が下りれば輸出許可証が発行される
- 保税蔵置場から船や航空機に搬送
輸入関連業務の流れ
輸出関連業務は品物を受け取るために関税や消費税の代理納付や税関への申告などの業務がメインです。
- 貨物を保税蔵置場へ搬入
- 税関に輸入申告を行なう
- 関税や消費税を納めると輸入許可が交付される
- 輸入貨物を引き取る
- 国内貨物として流通する
物流における通関業務の重要性
グローバル化が加速する中、海外と品物のやりとりが活発化しています。
自社の製品を海外へ輸出したい、必要な品物を海外から輸入したいと考えたとき、どうしたらいいか悩む方も多いでしょう。国際物流は、通関手続きはもちろん、保税倉庫の利用方法、積載する船や航空機の手配など、国内物流には必要のない手続きが多く存在します。
そこで輸出入に関わる複雑かつ専門性の高いさまざまな手続きから、輸送などすべてを、物流企業に依頼する場合も少なくありません。
通関業務を行なう物流企業では、自社の配送ネットワークを活用し、輸出入の申請から、品物の受け取りや配送までの一貫したサービスの提供が可能です。
例えば、当社富士ロジテックグループでも現地の法令・特性・事情を的確に把握したうえでのスピーディーな輸出通関サービスを展開しています。保税運用や非居住者の税関事務代理手続きなどの特殊な手配により、国際輸送や在庫管理と合わせて多彩なサービスがアレンジ可能です。
国際物流は多くの経費が必要ですが、輸出入における業務を委託し効率化できれば、人件費やコスト削減に繋がります。
通関業務に資格は必要ない
通関業務に興味があり、「通関士」の資格を取得しようと考える方も多いでしょう。しかし先ほども少し触れましたが、通関士の資格が無くても行える業務も多くあります。
もちろん通関士は、輸出入申告手続きをする通関のスペシャリストです。しかし、資格がなければ就けない仕事ではありませんので、当社のような総合物流サービスを提供する企業で、国際物流に関わりながら資格取得を目指す方法もあります。
当社は倉庫業、貨物利用運送事業、医療機器の製造業(物流倉庫)等を行なっています。資格取得を目指す方のバックアップ体制も整っていますので、国際物流や通関業務に興味のある方はぜひご応募ください。