「マルチオーダーピッキング」は、倉庫業務の効率化に有効で生産性を高める方法です。

しかし聞きなれない言葉ですから、具体的にどのような方法か気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、マルチオーダーピッキングのやり方やメリット・デメリットなどを解説していきます。

マルチオーダーピッキングとは?

マルチオーダーピッキングとは、複数のオーダー分のピッキングをまとめて行いつつ、仕分けも同時に行う方法です。

ピッキングは物流の数ある業務の中で、もっとも重要な作業と言っても過言ではありません。作業指示書(伝票・ピッキングリスト)のとおりに商品を出荷するため、正確にピッキングして集める必要があります。

しかし、同時に効率よくスピーディーに作業を進めなければ生産性も落ちてしまいます。多くの物流センターでは、いかに効率よく正確に、早くピッキングを行うかが課題となっています。

そこで注目されているのがマルチオーダーピッキングです。

例えば2オーダー分のピッキングで下記のような場合…

出荷先 オーダー
R社 A商品:3個

B商品:5個

K社 A商品:2個

B商品:3個

R社、K社の分をまとめてA商品5個、B商品8個とピッキングしても、再度2個と3個、5個と3個など仕分けが必要です。

しかし、マルチオーダーピッキングならあらかじめRさん用、Kさん用の箱を用意し、それぞれの箱に投入しながらピッキングしていきますから後で仕分けする手間が省けます。

マルチオーダーピッキングと他のピッキング方法は何が違う?

ピッキングの方法には、マルチオーダーピッキングの他に「シングルオーダーピッキング」、「トータルピッキング」があります。

それぞれどのような違いがあるか解説します。

シングルオーダーピッキング

シングルオーダーピッキングは個別の受注ごとにピッキングする方法で「オーダーピッキング」「摘み取り方式」とも呼ばれています。

オーダーごとにピッキングを行うためシンプルでわかりやすい反面、倉庫を何度も往復する労力がかかります。また、500件のオーダーがありその中に200個同じ商品が含まれていた場合でも、200回同じ場所を往復しなければなりません。

出荷件数が少なく SKUが多い場合の作業に適しています。また納品先が多く多品種少量のピッキングが多いEC通販などの倉庫でよく採用されている方法です。

※SKUに関してはこちらの記事をどうぞ

トータルピッキング

トータルピッキングは、複数の受注分の総量をまとめてピッキングし、後からオーダーごとに仕分けする方法です。「バッチ・ピッキング」や「種まき方式」と呼ばれています。

倉庫内でのスタッフの移動距離や時間を効率化できますが、後から仕分けする工程が発生し、仕分け用のスペースも必要となります。

店舗先発送など納品先が少なく、少品種大量出荷に適しています。

マルチオーダーピッキングのメリット

マルチオーダーピッキングは、先ほど解説した「シングルオーダーピッキング」と「トータルピッキング」のいいとこ取りをしたピッキング方法です。

まとめてピッキングしますが、受注先ごとに箱に投入していきますから効率が良く、「トータルピッキング」のように後から仕分けする手間が生じません。

ピッキングと仕分けを同時に行うことで作業効率が大幅にアップし、人件費の削減につながります。

マルチオーダーピッキングのデメリット

マルチオーダーピッキングのデメリットは、ピッキングと仕分けを同時に行うことで、箱の入れ間違いが起こりやすくなることです。

このようなミスが起こると誤出荷となり、返品対応や往復の送料など無駄なコストと手間が発生します。

そこでこのようなミスを防ぐために、マルチピッキングに対応したピッキングカートやWMSシステムを導入している企業が多くあります。

マルチオーダーピッキングが適している現場

マルチオーダーピッキングが適している現場は、倉庫が広く出荷オーダー数が多いケースです。ピッキング作業における移動距離が長く時間がかかる場合は、マルチオーダーピッキングで仕分けしながら進めるのが効率がいいでしょう。

オーダー件数が多い場合も仕分け作業に手間がかかりますから、オーダーごとに箱に投入していく形が効率的です。

マルチピッキングに対応したWMSシステムを導入している倉庫ならハンディターミナルを活用し、ピッキングする際のロケーションチェックや商品チェックを行うことができます。

まとめ

ここまでご紹介したように、ピッキングと一口に言っても方法によって得手不得手があります。どんなに便利なピッキング方法でも、自社の現場に適した方法を選ばないと生産性が落ちてしまうのは奥深いところですね。

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