物流業務について考える際に欠かせない存在である3PL(サードパーティロジスティクス)。
しかし、言葉は聞いたことがあるけど今一つ内容を理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、3PLの基礎知識と導入メリットについて解説していきます。

3PLとは

3PL(サードパーティロジスティクス)とは、荷主企業の物流を包括的に受託(アウトソーシング)し、最適な物流業務の改革提案を提供する会社のことです。荷主企業に代わって効率的かつ最適な物流戦略の提案を行います。

「JIS(日本工業規格)Z0111:2006:1003」では以下のように定義されています。

荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクスを代行するサービス。
倉庫,車両などの施設・設備がなくても事業化できる運営ノウハウをもとに,
情報システム及び業務改革の提案を中心に長期的な管理目標を定め,
達成した改善利益の配分を受けるものであるが,
物流事業者が荷主企業のアウトソーシングのニーズに広範に対応して一括受注するケースも含まれる。

サードパーティーとは、「第三者」、ロジスティクスは軍事用語で「兵站(へいたん)」を意味する言葉です。兵站とは、戦場で後方に位置し軍需品・食糧・馬などの供給・補充や、後方連絡線の確保などを任務とする戦略のことです。

つまり、荷主企業の物流を第三者的な立場で、最適化することと言えます。

「調達」「生産」「販売」といったサプライチェーンの各領域で発生する、輸送・保管・流通加工 といったロジスティクス業務のパートナーとして機能していくことです。

荷主企業の経営戦略やビジョンを理解し、QCD(Quality(品質)Cost(コスト)Delivery(納期))サービスをより良いものへと改革することを使命とします。

ちなみに、3PLは、「スリーピーエル」「サンピーエル」とも呼ばれます。

サードパーティーの定義

サードパーティーというからには、ファーストパーティーやセカンドパーティーも存在します。

ファーストパーティー メーカーや荷主企業
セカンドパーティー 問屋、卸売事業者、小売事業者
サードパーティー 物流事業者や3PL業者

サードパーティーとされる業者は、メーカーや荷主企業、問屋が行う物流業務を包括的に請負い、物流効率を高めるシステムの構築や提案をします。

3PLの歴史

3PLは1990年、物流先進国アメリカで発祥した新たな物流サービスです。3PLが登場した背景には、物流分野の規制緩和や事業者間競争の激化、荷主企業がコア業務に専念するためのアウトソーシングニーズが高まったことにあります。

日本でも、SCM(サプライチェーンマネジメント※)に注目し、物流改善を求める企業が増える中、3PLも脚光を浴びるようになりました。

※SCM(サプライチェーンマネジメント)とは…原料調達から供給までの全過程の最適化を図ること。

3PLは、単なる物流業務のアウトソーシングではありません。荷主企業の物流改善・効率化を実現するために提案・コンサルティングを行います。また、丸投げではなく、荷主企業側も提案し、双方の意見を取り入れながら物流改革に取り組むことが理想とされています。

参考文献:国土交通省「日本における3PLビジネスの育成に関する調査」より

3PLのメリット


3PLでは、荷主側が抱える物流課題を解決できる他に、以下の5つのメリットがあります。

物流業務への負担が減りコア業務に専念できる:生産性の向上

3PL最大の目的は、ファーストパーティーであるメーカーや荷主企業の負担を減らすことです。

物流業務を物流のプロフェッショナル企業へ委託することで、コア業務に専念できるようになります。その結果、生産性が向上し売上増加やさらなる事業拡大へとつながります。

経費の削減

3PLで物流業務を外注すれば、自社で倉庫を管理・運用するコストを削減できます。

品質を維持する必要のある生鮮食品や医薬品などは、設備の整った物流倉庫が必須です。これらを自社で運用する場合、倉庫などの固定費、光熱費、人件費、設備投資など莫大なコストがかかります。

中小企業では新たに物流倉庫を構えるような予算がなく、事務所の一角で発送業務を行っているケースも多いでしょう。

3PLを設備の整った業者に依頼すれば、物流コストが明確に可視化し固定費の見直しや削減につながります。物流コストを最適化することで、費用対効果を高めることができます。

顧客サービスの向上

3PLで物流の最適化を実現できれば、顧客サービスの向上につながります。

自社で物流業務を行う場合、最新の物流倉庫のような専用機器の導入もなく、手作業で行うことも多いのではないでしょうか。機器の導入には費用もかかりますし、導入したとしても使いこなせていない企業もあるでしょう。

これでは、誤出荷や配送の遅れなどのトラブルも多く、顧客サービスが低下してしまいます。

3PL業者はITを活用したシステム開発や専用機器の導入が進んでいますので、納品リードタイムを短縮し誤配もなく、スムーズな配送が可能となります。

販路拡大

荷主企業は、経営や業務を圧迫していた物流業務から解放されますので、新しい販路拡大などの動きに集中できます。

特に最近では、コロナ禍で実店舗での売上が減った事業者がEC市場への参入へシフトする動きが活発化しています。

その際に大きなネックとなるのが物流倉庫の問題です。このようなケースでも、3PL業者の倉庫やシステム、ノウハウを活用すればスムーズにスタートできるでしょう。

3PLの実例

ここで当社の3PLの実例を紹介します。

外資系医薬品メーカーG社様

G社様では従来、当社を含めて数社に日本国内で発生する物流業務を委託していました。しかし、委託先によって管理レベルやコスト体系にバラツキがあったり、自社による委託先の管理業務が煩雑化するなどの問題を抱えていました。

また、G社様は、国内外でのM&A(企業の買収・合併)や業務提携などを積極化しており、近年は医薬品の取り扱いアイテムが増加傾向にあるほか、物流体制が複雑化してコストアップ要因となっていました。

そこで当社から(1)原料の輸入管理、(2)工場内の物流管理、(3)エリア倉庫・危険物倉庫の管理、(4)輸配送業務など、日本国内で発生する物流業務を、当社が一括管理する体制をご提案いたしました。

その結果、当社が一括管理する体制に改めたことで、G社様の物流管理部門の業務軽減を図れたほか、工場内およびエリア倉庫における作業スタッフの人員配置の効率化、保管スペースの有効活用、輸配送トラックの最適配車などを実現、大幅な物流コスト削減につながりました。
【富士ロジテックグループ医薬品SCMの詳細はこちら】

まとめ

本記事では、3PLの基礎知識や歴史、導入メリットを解説しました。3PLは物流業界でも注目を集める期待のサービスです。近年のEC市場拡大によりさらに需要が高まると予想されています。

このように物流業界は「モノを運ぶ」だけではなく、物流効率化を請け負い最適な改革プランを企画・提案するコンサルティングに近いサービスを提供する企業も増えてきました。

そこで、物流コンサルティングや成長産業に興味のある方はぜひ物流業界への転職を考えてみてはいかがでしょうか。営業やコンサルティングに関心のある方にはぴったりの環境です。

当ブログを運営する、富士ロジテックグループも、物流の専門家として荷主企業の物流を請け負う3PL企業です。荷主企業の抱える課題を解決する物流コンサルティングを提供しており、現在営業や倉庫部門で人材を募集中です。

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