新型コロナウイルスの影響による巣ごもり需要の高まりで、EC市場が急成長しています。経済産業省が行った令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査によると物販系分野で市場規模が前年比21.7%の伸びを記録しました。
今後も拡大が見込まれるEC市場とともに、その市場を支える物流業界の必要性もますます高まることが期待されています。
本記事では、ECと物流の関係やEC市場のトレンド、国内の代表的なEC事業者を紹介していきます。
ECと物流の関係
ECとは「電子商取引」、「eコマース」とも呼ばれ、インターネット上で行われる商品やサービスの売買を意味します。みなさんがネットショッピングで購入した商品は、倉庫でピッキングされトラックや貨物、航空機などの輸送機関を経て、宅配業者の配達によって手元に届きます。
ECと物流は切り離せない密接な関係なのです。
国土交通省の調べでは令和元年度の宅配便取扱個数は、43億2349万個でした。
EC市場の成長とともにEC事業者間の競争が激化。競合他社とのサービス競争が加速する一方で、配送料の値下げや個人ドライバーの労働環境悪化など、より安いコストと細かな対応を求められた物流業界への負担が大きくなっています。
また、物流業務がコア業務を圧迫するEC事業者が増え、物流業務をアウトソーシングするニーズも高まってきました。
物流部分はノウハウのある専門業者にアウトソーシングすることで、消費者にもよりよいサービスを提供できるようになりますし、EC事業者はコア業務に専念できます。
このように、EC市場の拡大とともに物流業界もただ荷物を運ぶだけではなく、物流業務全体を請け負う3PLを展開するなど、事業内容も変化しています。
※3PLとは…コストとサービス、物流業務の最適化を目的に、荷主企業の物流業務を第3者企業が包括的に請負うこと
EC市場のトレンド
国内最大のメガベンチャーとして名高い楽天市場がスタートしたのは、今から約20年前の1997年です。その3年後に書籍販売をメインとしたAmazonが国内でサービスを開始し、翌年にはECモールを開設しました。
当時は、楽天市場、Yahoo!、Amazonに出店すれば売れる時代で、出店手数料も安かったため「とりあえず出店してみよう」という事業者が多く参入しました。その後、ECサイトを簡単に構築できるサービスが拍車をかけ、2000年代前半から市場が急スピードに拡大していきました。
EC市場は、テクノロジーの進化や決済方法の増加、消費者動向の変化の影響を大きく受けながら成長してきた業界です。そんなEC市場の今後のトレンドをチェックしておきましょう。
多チャネル化
近年、消費者がインターネットで買い物する際の選択肢が大幅に広がっています。
以前は楽天市場のようなECモール、自社ECサイト、ヤフオクなどのオークションサイトが主流でした。しかし、最近では、アプリやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、あらゆるチャネルで商品を購入できるようになっています。
従来のようなECモールの広告やメルマガではなく、各チャネルを連携させ、SNSアカウントで直接顧客とコミュニケーションを取りながら販売するスタイルにシフトしています。
このような動きから各チャネル間のシームレスな連携が競争の激しいEC業界を勝ち抜く鍵となっています。
SNSを活用
従来のEC市場のトレンドは、ECモールなどのバナー広告でした。莫大な広告費をかけ露出することで、売上をあげるスタイルです。
しかし最近では、インスタグラムやツイッターなどのSNSを活用したプロモーションへと変化しています。
消費者に有益な情報を発信することで、ファン化し商品を購入してもらう形へ進化しています。SNSはECサイトとの相性が良く、拡散力に優れているため効果も出やすいのが特徴です。
例えば、アパレルブランドではインスタライブで着こなしや着心地を提案し、ECサイトへ誘導する販売方式が主流となりました。
また、インフルエンサーと呼ばれる影響力の大きい人物に商品を宣伝してもらう「インフルエンサーマーケティング」も売上拡大に効果のある手法として活用されています。
国内の代表的なEC事業者
このように、急成長を遂げているEC市場ですが、ここで国内の代表的なEC事業者を紹介します。
Amazon
画像:Amazon
「Amazon」は、2000年11月に開設されたショッピングサイトです。当初は書籍のみの取り扱いでしたが、現在は家電やファッション、食品に至るまで幅広いジャンルの商品を取り扱っています。
ショッピングやエンターテイメントなどのさまざまな特典を提供する会員制プログラム「Amazonプライム」の会員数は、2021年時点全世界で2億人を超えており、一部商品の送料や、お急ぎ便が無料になるなどのサービスで顧客獲得に成功しています。
商品の検索や購入を簡単に理解でき、ワンクリックで買い物できる操作性も人気の理由。検索精度も高く、目的の商品を見つけやすい、返品も簡単にできるなど利便性の高さも魅力です。
「フルフィルメント by Amazon(FBA)」サービスを利用すれば「保管・梱包・出荷・配送・返品」まで一貫して行われるため個人でも運営できるなど出店側のメリットも大きい会社です。
楽天(楽天市場)
画像:楽天市場
楽天株式会社が運営する「楽天市場」は、年間国内EC流通総額3兆9000億を超える国内最大級のショッピングモールです。2021年9月時点での楽天会員数は1億以上と国内のショッピングモールの中では圧倒的な数字を誇ります。
楽天カードなどのその他の楽天サービスを利用することでポイントが最大15倍になるなどお得なサービスを展開しています。
ヤフー (Yahoo!ショッピング)
画像:Yahoo!ショッピング
「Yahoo!ショッピング」はヤフー株式会社が提供しているショッピングモールです。2020年の6月時点のYahoo!プレミアム会員が2,340万人を突破、ソフトバンクユーザーやPayPay会員などの囲い込みで、会員数を伸ばしています。
初期費用・月額固定費・売上ロイヤリティも無料で出店できるのもショッピングモールとして珍しく大きな特徴です。
アスクル(ロハコ)
画像:アスクル(ロハコ)
「ロハコ」はオフィス用品の通販を手がけるアスクルが運営する一般消費者向けの通販サイトです。
アスクルといえば、事業者向けのサービスですが、ロハコは家庭に必要なものを届ける日用品専門のショッピングサイトとして2012年10月にスタートしました。
開設からわずか4年で顧客は累計で250万人超、2020年10月時点では累計600万人を超えています。女性を中心に人気を集め急成長しているサイトです。
PayPayやYahoo!アカウントと連携して利用できるなど、他サイトの会員も取り込める仕組みが特徴です。
ZOZOTOWN
画像:ZOZOTOWN
「ZOZOTOWN」は、株式会社ZOZOが運営するファッション専門の通販サイトです。
著名ブランドからファストファッションまで、価格も年代も幅広く扱っており充実した品揃えが、アパレル通販の中でも圧倒的な支持を得ています。
SNSアプリ「WEAR」との連携や、支払いを先送りできるツケ払い、古着下取サービスなど、他社とは異なるサービスを展開し注目を集めています。
物流センター「ZOZOBASE」を運営し、注文から出荷作業、配送、返品までを一貫して管理する自前物流も大きな特徴です。
まとめ
本記事では、ECと物流の関係や市場のトレンド、国内の主な事業者を解説しました。新型コロナウイルスの影響により、EC市場はさらに拡大しています。
その成長と比例して物流業界の役割も重要視される中、物流倉庫のアウトソーシングへのニーズが高まるなど事業構造も変化してきました。
このように進化を続ける物流業界では、既存の物流事業の高度化など、変革を共に進めていける人材が求められています。
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