流通と物流、そして商流。どれも似たような言葉で何が違うのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。物流と流通、商流は私たちの経済活動や生活になくてはならないものです。しかし、違いを明確に解説できる方は少ないはず。
そこで本記事では、流通と物流、商流の意味や違い、役割などを解説していきます。
流通とは?
流通とは、私たちの経済活動を支える3大活動「生産・流通・消費」のひとつです。
生産されたものは流通を通じて消費者の元へ届きます。
離れた場所で生産された商品を消費者へ届けるには、単にものを輸送する活動だけでは足りません。品質を保つ保管、輸送時の汚損や破損から守るための包装、効率よく届けるための情報管理など、さまざまな役割が正常に機能してこそ、流通が実現します。
このように、流通は生産者の「供給」と消費者の「需要」を円滑に結びつける重要な役割を担っています。
流通と物流・商流の違いは何?
流通と似た言葉に、物流・商流があります。物流と商流は、流通における2大機能です。
現在は、スーパーやコンビニに常に商品が並び、欲しいと思ったものはインターネットで手に入ります。地域によっては、注文した翌日に手元に届くことも珍しくはありません。
このような状態が実現できているのは、流通活動における「物流」と「商流」が、機能しているからにほかなりません。
物流とは
物流とは、一つの商品が生産者から消費者の元へ届けられる一連の流れを指します。商品が生産される前の、原材料を運ぶ活動も物流です。また、生産後にメーカーへ、その後小売店へ届けられ、最後は消費者まで届く大きな流れが全て物流です。
必要なものを必要な量、必要な時に届けるため、物流には6大機能と呼ばれる活動があります。
- 輸配送:荷物を運ぶ活動。輸送は長距離を運搬すること、配送は需要者の元へ届けること。
- 保管:物流センターなどで商品を保管すること。
- 包装:輸配送や保管時に商品の破損や汚損を防ぐため包装すること。
- 荷役:倉庫や物流センター内で荷物を運ぶこと。積み付けや積卸し、運搬、集荷、仕分けなど。
- 流通加工:ケース商品をバラにして消費者や企業が求める単位に分ける。
値札をつけたり、箱詰めしたり、商品の一部を組み立てたりと消費者や業者が便利なように加工する業務。 - 情報処理:上記のような業務が効率的・合理的に行われるためにシステムを活用して管理する業務。
商流とは
商流とは、モノの売買にともなう取引活動とお金の流れを指します。商取引活動は、物流、金流、そして商流の3つに分けられます。
交渉・契約・所有権の移転・受発注などの取引活動の流れや代金決済などのお金の流れが商流です。
商品購入の際に発生する情報や所有権の移動も商流に含まれます。
物流・商流は流通の種類!
先述したとおり、物流・商流は、流通の2大機能です。それぞれに役割と特徴があり、商流・物流が密接に連携しているからこそ、消費者の元に商品がスピーディーに届きます。
そもそも生産と消費にはギャップがあり、乖離している状態です。それを解消する機能が、流通であり、物流や商流なのです。
流通には他の種類もある
流通には他にも種類があります。それは、「金流」と「情報流」です。先ほど紹介した物流・商流と合わせて、物流4大機能と呼ばれています。
ここからは「金流」と「情報流」について解説します。
金流
金流とは、商品の売買取引で発生するお金の流れを指します。物流では、商品が生産者から消費者へ流れていきますが、金流はその逆で消費者から生産者へ流れていくのが特徴です。
金流は、商流の一つの機能として捉えられますが、動きが連動しているわけではありません。例えば、代金の支払いを月1にまとめて払う掛け売りや、生産者や業者間で決めているそれぞれの締日で払うなど、商品が先に消費者へ流れて、金流は後から発生するケースもあります。
情報流
情報流とは、商品が生産されて消費者の手元に届くまでの情報の流れを示します。これまで解説した物流や商流は一方向へ流れていましたが、情報流の流れは双方向です。
例えば、商品の原材料や産地、生産者の情報、決済の際のクレジットカード情報などが含まれます。
流通の役割
先述した通り、流通は生産者と消費者のギャップを埋める役割を担っています。このギャップは主に、「人・距離・時間」の3つに分けられます。
人のギャップ
生産者と消費者は、商品に対して情報量のギャップが発生しています。生産者は、生産した商品に対して膨大な量の情報を持っていますが、消費者は違います。手に取る商品がどのようなものなのか、特に食品は気になるところでしょう。
そこで、流通過程で広告を活用してPRしたり、パンフレットや商品説明をつけたりすることで、消費者に情報を伝えられます。また物流の段階で、商品に直接ラベルを貼る加工なども、生産者と消費者のギャップを埋めることができるでしょう。
他にも人のギャップには、商流を使って代金を払い、所有権を移動させることも含まれます。
距離のギャップ
生産者と消費者の間には、距離のギャップも発生しています。例えば、栃木県で生産されたキャベツを福岡の消費者が手に入れるには、栃木から福岡までの距離を何かで埋める必要があります。
その役割を担うのが、流通の中の物流機能です。物流業者が商品の品質を保ち、九州の配送拠点まで届けることで、距離のギャップを埋められます。
また、EC通販で購入する際にも同じく距離のギャップが発生しています。本来なら自分で買いに行かなければならない場所の商品をインターネットで注文した場合、それを届けるための距離のギャップが生まれています。
しかし、流通が機能していれば問題なく消費者へ届けられますから、距離的なギャップを埋めることが可能です。
時間のギャップ
上記で解説した人や距離のギャップには、時間のギャップが生まれています。
例えばネット通販でいえば、注文が入るたびに生産者に発注し消費者へ運んでいると、時間がかかります。しかも、生産者から出荷される商品は基本、大量のロットになっていますし、多頻度小口配送には対応できません。
そこで、生産者からの商品をいったん中継地点の物流センターへ集め、在庫として保管しておけば、注文が入った際にもスムーズに消費者へ届けることできます。
このように時間のギャップを埋めることも、流通の役割です。
まとめ
本記事では、流通・物流・商流の違いについて解説しました。物流と商流は、流通の中の機能であり、生産者と消費者のギャップを埋める役割があります。物流は主に距離のギャップを、商流は人のギャップを埋めています。
このように流通におけるさまざまな機能が正常に稼働しているからこそ、私たちの豊かな暮らしが成り立っているのです。近年の流通では、いかに効率的かつスピーディーに商品を消費者へ届けるかが重要視されています。
それを実現しているのが、物流センターであり物流企業の役割です。
記事中でもご紹介したように、物流センターでは保管や荷役など物流6大機能と呼ばれる機能をフル稼働し、効率的な流通を実現しています。物流業は、社会インフラを守る重要な存在といえます。
もし物流センターや物流業務にご興味があり、流通の現場で活躍したい方は、本ブログを運営する富士ロジテックホールディングスで働いてみませんか?
未経験者、経験者の中途採用も積極的に行っていますので採用サイトをぜひご覧ください。