物流業界でよく使われる言葉に「マテハン」「マテハン機器」があります。物流倉庫内の作業を総称したものでマテリアルハンドリングと言います。

また、マテハン機器とは荷役業務を効率化するために用いられる機器のことで通称「マテハン」と呼ばれています。

さまざまな種類があるマテハンですが、コスト削減や人手不足解消、人的ミスを防ぐ効果が高く、今や物流業務に欠かせない存在です。

とはいえ、マテハンが具体的にどういうものなのかわからない方も多いでしょう。

そこで本記事では、マテハンの意味や概要、管理の全体像などを解説していきます。

マテハン(マテリアルハンドリング)とは?

先ほども触れましたがマテハン(マテリアルハンドリング)とは、そもそも機器のことではなく物流倉庫内で荷物の運搬や入出庫、ピッキング、仕分けなどを効率的に管理することです。

マテハンの効率化によって省人化や人的ミスの削減、生産性の向上を実現できます。

マテハン機器とは?

マテハン機器とはマテハン(マテリアルハンドリング)を効率化するために用いられる機器のことです。人の動きを最小にするモノや、移動距離の無駄を省くなど無駄のない運搬管理を実現する機器のことを指します。

現在は「マテハン=マテハン機器」の意味で用いられることが主流となっています。

多くの物流倉庫に備えられているフォークリフトやパレット、ハンドリフト、作業台などもマテハン機器の一つです。その他さまざまなものがあります。

マテハン機器を活用すれば、ピッキングの効率化、迅速な配送による納期短縮、保管効率の向上なども期待できるため倉庫業務では欠かせません。

特に、多品種少量のピッキングが多いEC通販の倉庫では業務効率化を目指し、導入ニーズが高まっています。

マテハンに含まれる業務例とマテハン機器の一覧

ここからはマテハンに含まれる業務と活用されるマテハン機器を解説します。

積み込み・入庫

貨物の入庫や積み込みに用いられる機器は、主に下記の3種類があります。

  1. フォークリフト
    車体の前面下部にツメを備え、荷物を前に積むフォーク、ラムなどの装置を備えた荷役運搬車両で、重量のあるものでも簡単に積み下ろしが可能。小回りが利くので狭い場所でも重宝する。
  2. ドッグレベラー
    プラットフォームとトラックの荷台の差を埋めるもの。プラットフォームに備え付けられていることが多く、坂を形成してスムーズに荷物を搬入できる
  3. パレタイザ
    パレットの上に荷物などを自動積載する装置。効率的な積載が可能。

積み込み業務においては、フォークリフトが欠かせません。以前は人が運転するタイプが主流でしたが、最近では自動化も進んでいます。

運搬

運搬は、建物や敷地内などで荷物を移動させる作業です。運搬に使われるマテハン機器は「運搬機器」「保管機器」と呼ばれています。

活用されるマテハン機器は下記の2つです。

  1. 電動コンベア
    自動搬送機器の1つ。荷物を乗せれば自動で運ばれるため効率的な運搬が可能。
  2. 無人搬送車
    床に磁気テープや磁気棒などをレールのように設置しそれに沿って無人で走行する。人手が必要なく効率よく運べるため省人化を実現できる。

以前までは台車を用いて人が運搬することもありましたが、マテハン機器の導入で人件費や時間的なコストを削減できています。

 

仕分け

仕分けは荷物を品種別、出荷先別などに分ける作業のことです。倉庫や物流センターで決められたルールに沿って仕分けされます。

仕分けに用いられるマテハンは自動仕分機と呼ばれる「ソーター」です。商品に取り付けられたバーコードをカメラなどで読み込み、自動で高速に仕分けます。

当ホールディングスで導入しているロボットシステム

保管

物流業務における保管業務は、荷物を預かり保管することです。一見荷物を置いているだけの業務に見えますが、ロケーション在庫管理や適切な場所にあることが重要です。

保管で活用されるマテハンは下記の2つです。

  1. 自動倉庫
    入庫から出庫まで自動で行われる。保管場所や商品の情報を機械が管理しているためピッキングも自動で行われる。
  2. 移動ラック
    床に設置したレールに沿って自動で移動するラックのこと。棚自体が動くため人が通る隙間が必要なくスペースを有効活用できる

自動倉庫なら人による作業を考慮しなくてもいいため、高層化してスペースを有効活用することも可能です。

出荷

出荷とは、商品を倉庫から納品先へ搬出することです。出荷業務に使用されるマテハンは以下の2つです。

  1. デジタルピッキングシステム
    入庫から出庫まで自動で行われる。保管場所や商品の情報を機械が管理しているためピッキングも自動で行われる。
  2. 自動製函機
    梱包に必要な折りたたまれたダンボールを自動で組み立てる。

ピッキング業務では、その倉庫に長く従事しどこの何があるかわかっている熟練作業者に頼るような属人化が問題になりがちです。

しかし、上記のようなマテハン機器の導入で作業者が商品の保管場所を探す必要がなくなり効率的な作業が可能になりました。

マテハンの役割と重要性を解説

物流業務効率化、省人化を実現するマテハンは物流業界になくてはならない存在です。物流工程全般にマテハンを活用することで、生産性を向上させることができます。

ここまで解説してきたように、これまで作業員が手作業で行っていたパック詰めや搬送、パレット積みなどの業務をマテハン機器に任せれば、圧倒的な早さと正確さで業務が進行します。

機械を使うことで人による品質の差がなく、ヒューマンエラーを減らして品質向上、顧客満足度を高めることも可能です。また、重たいものを人が運ぶ必要がなくなり、安全性も向上します。

既に導入している機器に相性のいいマテハンを追加導入すれば、さらに業務の改善を図れます。

このように、マテハンが正常に機能することで物流がスムーズに機能していると言っても過言ではありません。現在もさらに進化したマテハン機器の開発・導入が進められ、社会インフラの下支えとして貢献しています。

近年ではマテハンにもAI導入が

先述した自動倉庫や自動搬送する機器などAIを導入したマテハン機器の自動化は以前から研究が進んでいました。開発には物流分野へ産業ロボットメーカーが参入し、人が行っている作業をAIに学習させ荷物を適正に扱う方法をマスターさせるような研究が世界中で行われています。

さらに、近年ではEC市場の拡大や人手不足、新型コロナウイルスによる3密回避など、倉庫の自動化はもはや避けられない事態となりました。密を避けながら増える荷物量にどう対応するかといった課題に対し、早急に自動化を進めたいと考える企業も増加し、AIを導入したマテハン機器への期待は、より一層高まっています。

人が行う作業の一部をロボットが担うだけで生産性が大きく向上しますし、AIを導入すれば、コスト削減、省人化、教育業務の削減、誤作業防止を実現可能です。

この流れは今後さらに高まることが予想され、深刻化している労働力不足や労働環境の改善の糸口になると期待されています。

まとめ

本記事では、マテハンについて解説しました。

マテハン機器に見られるように、物流は年々高度化しています。とはいえ、マテハン機器を導入すればいいというわけではなく、いかに効率よく活用するかの相違工夫が必要です。そこで当社のような総合物流企業が提供する、顧客の課題に合わせたマテハン機器の提案や倉庫の改善を行う「物流コンサルティング」へのニーズも高まっています。

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