運送業や物流業など、事業用自動車の運行を管理する全ての事業所には「運行管理者の配置」が義務付けられています。
そのため、運航管理者の資格を取得することはキャリアアップや就職・転職の強みとなるでしょう。
本記事では、運行管理者はどのような資格か、業務内容、取得方法などを解説していきます。
運行管理者とは?どんな資格?
冒頭でもお話ししましたが、運航管理者とは、事業用自動車の運行を管理する全ての業者に配置が義務付けられている国家資格です。
近年、バスやトラック、タクシーの運転手の過労や持病の発作などの原因により、重大な事故が発生するというケースが少なくありません。
このような事故を防ぐため、ドライバーの疲労、健康状態を把握し安全な運行を指導する役割を果たすのが「運行管理者」です。
難易度が高く合格率の低い国家資格ですが、物流業界の需要拡大によりニーズが高まる資格ですから取得しておく価値は十分あります。
運行管理者不在だとどうなる?
運行管理者の配置は、貨物自動車運送事業輸送安全規則で義務付けられています。さらに、所有している台数に合わせて、営業所ごとに一定の運行管理者をおく必要があります。
運行管理者不在は、「悪質な法令違反」に該当し、30日間の事業停止など行政処分が下されます。また、運輸局により社名が公表されるため、社会的信用を失うことも考えられます。
運行管理者の突然の退職などで不在になるケースは当然考えられますので、常に2人以上の体制を整えて対応していく必要があります。
運行管理者の業務内容
運行管理者の主な仕事内容は、「ドライバーの指導や監督」「疲労・健康状態を把握し、安全運行の指示出しをする」「乗務記録・運行記録・事故記録の管理」「乗務割の作成」などです。
業務は常に道路運送法及び貨物自動車運送事業法に基づき行います。
過労運転にならないシフト制の作成や、安全に運行できるルートの提案、ドライバーの安全運転を深めるために教育も運行管理者の仕事です。点呼の際にドライバーに体調やアルコールを摂取していないかを確認するのも業務の一つ。
これらの業務を通して、事故を未然に防ぎ、安全に運行していくことを目的としています。
運行管理者の資格者証を取得するためには
運行管理者の資格証を取得するには、「国家試験に合格すること」と「一定の条件を満たすこと」の2通りの道があります。
国家資格に合格する
運行管理者は、年に2回、8月・3月に行われている国家試験である「運行管理者試験」に合格することで「運行管理者資格者証」の交付を受けることができます。
試験には「貨物」と「旅客」の2種類があり、必要に応じて選択可能です。
- 貨物…トラックによる貨物の輸送業務
- 旅客…バスやタクシーなどの運送業務
試験は「公益財団法人運行管理者試験センター」によって実施されています。受験資格を得るには、1年以上の実務経験か、実務経験同等の講習を修了が必要になります。
実務経験がなければ、自動車運送事業輸送安全規則に基づき、国土交通大臣から認定された講習実施機関で基礎講習を受講することで、試験資格を得られます。
試験内容や合格率について
貨物の資格試験には、以下のような内容が出題されます。
・道路交通法
・労働基準法
・貨物自動車運送事業法
・道路運送車両法
・その他(運行管理者の業務上必要な知識・能力について)
試験時間は90分で、パソコンの画面に表示される問題に対しマウス等を用いて解答する試験方式のCBT試験が採用されています。
受験手数料は6,000円+インターネット申請利用料(新規受験660円 再受験860円)が必要です。
2021年度(令和3年度)第1回運行管理者試験の合格発表による合格率は、貨物が29.8%、旅客が32.6%となっています。
※出典:運行管理者試験対策.net
一定の条件を満たす
運行管理者は、5年以上の実務経験があり、その間に基礎講習や一般講習を5回以上受けていれば条件を満たしたとみなされ資格が取得できます。
以下、国土交通省の一文を抜粋します。
取得しようとする運行管理者資格者証の種類(一般乗合旅客、一般貸切旅客、一般乗用旅客、特定旅客、貨物)ごとに、それぞれに応じた種別の自動車運送事業(貨物軽自動車運送事業を除きます。)の事業用自動車の運行の管理に関し5年以上の実務の経験を有し、その間に運行の管理に関する講習を5回以上受講していること等の要件があります。運行の管理に関する講習として、自動車事故対策機構が行う基礎講習及び一般講習が認定されており、5回以上の講習のうち、少なくとも1回は基礎講習を受講している必要があります。
出典:国土交通省
物流が抱える課題と運航管理者の必要性
物流は、私たちの生活や経済を支えるライフラインです。そのライフラインを支える国内の貨物量の9割はトラック輸送(※)が担っています。
EC市場の拡大が影響し、配送のスピード化、小口配送の急増、それに伴う物流の複雑化により運送・物流従事者の労働環境はさらに過酷となっています。
トラックドライバーの安全管理欠如による重大事故の発生が多発する近年では、ハンドルを握るドライバーへの高い安全意識が要求されるのはもちろん、ドライバー自身の心身の健康を保つ労働環境の改善も求められています。
その中心的な業務を担う運行管理者は需要は、今後さらに高まるでしょう。取得していれば、転職にも有利になります。
運行管理者は、安全な生活を守る役目がありますので、運転者に常に適切な指示を行う優れた指導力と冷静な判断力が必要です。
安全に対する意識が高いことは、企業イメージの向上と信頼獲得につながります。
運行管理者の取得は働きながら目指す
ニーズの高まりから注目されている国家資格「運行管理者」ですが、働きながら取得を目指すのが一般的です。
前述したように1年以上の実務経験によって受験資格が得られるほか、講習を受けながら5年の実務経験を積むことでも取得できます。
資格取得を目指すなら、物流業界で働きながらキャリアアップとして取得する方法がおすすめです。実際の現場を経験しながら取得を目指せるため、資格取得後もすぐに業務に活用できます。
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