食品物流は私たちの生活に欠かせないライフラインの一つです。
大きな災害や事故で物流がストップし、スーパーやコンビニの店頭から商品がなくなってしまった様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。私たちが新鮮な食材を安心して手にできるのは、食品物流が機能しているからに他なりません。
しかし食品物流が実際にどのようなものなのかは、普段の生活の中で知る機会はありません。そこで今回は、食品物流について、当社の特徴などを交えながら解説していきます。
食品物流とは
食品物流とは、その言葉どおり食品を扱う物流のことです。食品物流では、一般物と呼ばれる貨物と比べて特殊な設備やスキルが求められます。
例えば、食品ごとに常温・冷蔵・冷凍・生鮮といった異なる温度調整による管理です。
生産者による厳しい品質管理の下で作られた食品を変わらぬ品質のままスピーディに消費者に届けるため、
適切な設備と管理体制、輸配送ネットワークが必要なのです。
ここからは食品ごとの品質管理について詳しく見ていきましょう。
常温食品を扱う場合
缶詰や調味料、お菓子などの常温食品は、賞味期限が長いのが特徴です。食品の中でも扱いやすい部類ではあります。
しかし、チョコレートなどは溶けやすいため適切な温度調節が必要です。そういった食品を保管する際にはそのエリアを空調で管理するなど温度を一定に保つ工夫がされています。
常温食品を扱う物流倉庫は、冷蔵や冷凍センターより設備投資や建設コストが安く大小様々な倉庫が存在します。消費期限については、一定の基準で入出荷制限が設けられているケースが多く見られます。
冷蔵食品を扱う場合
冷蔵食品は、青果物や肉・魚といった食材を含みます。これらの食材は鮮度が命です。新鮮さを保つため繊細な温度調節が必要とされます。このため、品質を保持するための温度管理ができる物流センターの設計が必要です。
また運搬には、「コールドチェーン」という流通体系が用いられるのが一般的です。
コールドチェーンとは、冷蔵・冷凍といった一定の温度を維持したまま、生産・輸送・消費の流通プロセスを鎖のようにつなげる仕組みです。活用すれば生鮮食品などの広域流通や長期間の保存が可能です。
冷蔵食品は賞味期限が短いため、在庫を持たない通過型物流センター「TCシステム」を利用し、効率的に配送しているケースが多く見られます。
冷凍食材・食品を扱う場合
冷凍食品は、国内の食品工場で生産されたアイスクリームや冷凍食品のほか、海外から素材に近い形で冷凍された畜産物などの食材も含まれます。
採れたての美味しさを長期間保つために凍結点よりも低い温度で急速冷凍された食材は、一度溶けてしまうと品質の劣化につながるため、取り扱いには細心の注意が必要です。
輸送時にも徹底した品質管理が求められますので、車両庫内の温度測定や管理が欠かせません。
食品物流に求められる「賞味期限管理」
食品は口に入るものですから、安全性が強く求められる商品です。
賞味期限の切れた食品を万が一お客様へ配送してしまった場合、企業の信用問題に関わりますので絶対に避けなければなりません。
このことから食品物流では徹底した賞味期限管理が必要です。とはいえ、膨大な数の食品をアナログで管理することは困難でしょう。
そこで食品物流倉庫では、賞味期限管理のできる「倉庫管理システム(WMS)」の活用が進められています。
システムを活用すれば正確な賞味期限管理が可能で、食品の安全性が保たれると同時に廃棄ロスの削減にもつながります。
食品物流に求められる「温度管理」
食品物流では食品の鮮度を保つために徹底した「温度管理」が求められます。
下記の表のように、取り扱う食品に適した温度で管理しなければなりません。
そこで倉庫内の荷捌き・入出荷スペースもすべて温度管理できる物流センターの設計が必須です。
【食品の管理温度帯】
温度 | 食品 |
15℃前後 | チョコレート |
0℃~5℃以下 | チルド商品 |
4℃以下 | 鮮魚介類 |
5℃〜10℃以下 | 野菜 |
-18℃以下 | 冷凍食品 |
-30℃以下 | アイスクリーム |
-50℃以下 | 冷凍マグロなど |
冷凍食品・食材は基本的に-18℃以下に保つことがポイントです。
しかし実際は、仕分けや入出荷時にトラックや建物の隙間から外気に触れることもあります。
そこで、車両庫内の温度管理の徹底やエアシェルターなどの活用で品温が下がらないように管理されています。
富士ロジテックホールディングスの食品物流
当社倉庫では、お客様が厳しい品質管理の下で作られた食品の鮮度や安全性を保つために適切な設備と管理体制を整えています。
食品物流において様々な業種形態、商材に対する長年の実績があります。
日系企業から外資系まで多くのメーカー様とお取引実績があり、ニーズに合わせた取扱いが可能です。
例えば賞味期限管理では、原材料や製造工場の違いによる多品種小ロット管理にも独自のWMSで柔軟に対応し、
先入れ先出し(※)や出荷製品のトレース機能も兼ね備えています。
※先入れ先出し…保管されている商品を古いものから出庫し、商品が劣化しないようにする管理方法
さらに、温度管理では、食品の保管に不可欠な常温・定温・チルド・冷凍の4温度帯での保管に加え、
検査分析のための高温度帯での保管設備など万全な体制で管理しています。
また、お客様のニーズに合わせたラベル貼り・包装・ギフトセットアソートなどの流通加工も可能です。
配送では、複数の輸配送ネットワークを駆使した共同配送で配送料金のコスト削減を実現できます。
【富士ロジテックホールディングスの食品物流についてはこちら】
まとめ
本記事では食品物流について解説しました。
北海道の食材が、鮮度を保った状態で沖縄に届く…このような食品輸送を支える存在が食品物流です。
食品ならではの品質管理が求められる食品物流は、適切な温度管理を徹底することで、
より新鮮なものを消費者へ届けることができ、鮮度や品質の低下を防いでいます。
また、倉庫管理システムを活用した正確な賞味期限管理により安全性が保たれるばかりでなく、
廃棄ロスに対する取り組みにも繋がっています。
このように、食品物流は人々の暮らしを影で支えている存在です。
今回の記事で食品物流という分野に興味を持たれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
当社では、現在新たな物流スキームの企画・提案、物流センターにおけるマネジメント全般で人材を募集中です。
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