私たちの生活や経済の成長に欠かせない物流。その物流を支える重要な拠点となるのが、物流センターです。しかし、物流センターと聞いて、具体的にどのような役割があるかわからない方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、物流業界を目指す求職者なら必ず知っておきたい物流センターの機能と役割、業務についてわかりやすく解説していきます。

また、物流業界の求人でよく目にする「物流センターの管理運営」についても触れていますのでぜひ就職活動に役立ててください。

物流センターとは

物流センターとは、複雑な機能を持ち高度化した作業を行う倉庫のことです。スムーズなピッキングや在庫管理を実行するため「WMS(倉庫管理システム)」や「TMS(運行管理システム)」などのシステムを導入しています。

物流センターとよく混合されやすいもので倉庫があります。倉庫は荷捌きや一時的な荷物の保管など、物流センターの持つ機能の一部を有するため、機能が異なります。

近年、物流センターは荷物を保管するだけではなく、コスト削減や業務効率化で利益を生む場所として、改めて注目されています。

「梱包作業に人手が足りない」「自社で物流センターを導入する資金がない」など物流に課題を抱えた企業のニーズは年々増加し、それに応えるために、システムは高度化しています。保管、在庫管理、流通加工などを無駄なく効率的に進めるため、ITの活用、ロボティクスの導入が積極的に進められている分野です。

物流センターの種類

一口に物流センターといっても下記のような幾つかの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

企業が自社で高度化した物流センターを導入するには莫大な費用と人件費がかかります。中小規模の企業が自社で導入することが困難な場合がほとんどでしょう。

しかし、上記のような物流センターの登場で、物流業務を委託できるようになり、コア業務に専念できるようになりました。このように荷主企業の物流部門全体を包括的に請け負う業態が、「サードパーティーロジティクス(略して3PL)」です。

物流といえば、トラックで荷物を運ぶだけの印象ですが、最近ではAIを活用し物流全体のプロセスを最適化する場所として進化を遂げています。

物流センターの機能と役割

物流センターには、①輸送、②荷役、③保管、④流通加工、⑤包装の5大機能が存在します。これらの5大機能を満たす物流センターを持つ企業は、物流業界の中でも優良企業と認められます。

最近は、さらに⑥情報管理が加わり、6大機能と認知されるようになりました。6大機能を上手に活用することで、業務効率化やコストカットが可能です。

それぞれの機能を詳しく解説します。

①輸送配送

「輸送配送」は、商品をトラックや貨車、船舶や航空機などの輸送機関で運ぶ業務です。物流といえば、このイメージが強い方も多いはず。日本国内の90%はトラックやを貨車使った陸送がメインです。

大量の商品を長距離で運ぶことを「輸送」と呼び、主に物流センターなどの拠点に運ぶことを指します。一方で、「配送」は、小口の商品を最終目的地に運ぶ工程を指し、中距離移動となります。ちなみに「運搬」とは、狭い範囲、例えば物流センター内で商品を運ぶことです。

この辺りの言葉は混合しやすく意味の違いがわかりにくいので、物流業界への就職を目指す方はよく理解しておきましょう。

②荷役

「荷役」とは、物流センターに届いた商品を入庫・出庫する作業です。荷役の役目は幅広く以下のような業務を担います。

●トラックなど輸送機関への貨物の積み込み・積み下ろし
●保管倉庫への入庫・出庫
●ピッキング
●検品
●配送別の仕分け

輸出入の場合は通関手続きまで含まれます。荷役は人手が必要で、正確性と時間的効率化が求められる業務です。

最近では、多くの物流センターでAIやITが導入されシステム化できるようになっています。荷役を効率化すると生産性が増し、サービス品質向上につながります。

③保管

「保管」は、送り主から預かった商品を物流センター内で適切に保管する業務です。商品によっては、出荷まで時間がありその差を埋めるため保管が必要になります。

生鮮食品や医薬品など品質が変化しやすいものは、湿度や温度を管理して適切な環境で保管することが重要となります。

④流通加工

「流通加工」とは、顧客のニーズに合わせて加工することです。流通加工には販促加工と生産加工の2種類があります。

アパレル商品の値札付け、アイロン、ハンガー掛けなどが販促加工、パック詰めが生産加工です。他には、商品の小分け作業や、ギフト商品にするためのセット組みが行われます。

以前までは製造工場や企業で行っていた作業も、最近では物流センターが担うことが多くなりました。

物流センターで加工すれば、製造業も小売業も手間と時間、人件費を削減しコア業務に専念できます。

⑤包装・梱包

「包装」はその言葉どおり、梱包資材を使って商品を包む作業です。輸送時の破損や品質低下を防ぐため、どんな小さな商品でも梱包します。

●工場で個包装されたものを幾つかの数量にまとめてパッケージに入れる
●パッケージしたものが破損しないよう梱包する

包装には、商品の品質低下を防ぎ、価値を向上させる大事な役割があります。

⑥情報管理

「情報管理」は、ITやAIを活用し輸送中の荷物の居場所や輸送経路、衝撃などの状況を記録・管理する業務です。

トラックの実車率・積載率や配車管理を行い燃費削減につなげることも。また、賞味期限や製造・入庫ロットを管理し品質を維持するのも大事な役目です。

在庫をデータ化し正確に把握できるようにすれば無駄を省き倉庫スペースも有効に活用できるでしょう。すべての情報をビッグデータ化して、輸送品質の向上や業務効率化の分析に役立てます。

物流センターで行われる業務


この項では、物流センターで行われる主な業務を6つを、業務フロー順に解説します。

入荷

まずは、製造者や依頼主から送られてきた商品を受け入れる作業です。納品書や伝票と、送られてきた商品の内容や品番、数に違いはないか照合します。

また商品に破損や汚れがないか検品も必要です。入荷と検品を行う過程を「入荷検品」と呼びます。問題がなければ在庫台帳に情報を正確に入力します。

以前はこの作業を手作業で行っていましたが、最近はハンディターミナルでスキャンし効率的に進められるようになりました。人間の認知能力によるミスを防ぎ、正確な入出荷管理が可能となっています。

保管

「保管」は、入荷した商品を、品質が保持できる方法で保管・貯蔵する業務です。ピッキングしやすいように決められた棚に商品を置いていきます。

また、在庫切れを起こさないよう在庫管理するのも保管業務のひとつ。とはいえ、限られたスペースを有効活用するため過剰在庫は注意すべきところです。

最終目的地に届けるまで最適な温度・湿度を保つ必要がありますので、生鮮食品や医薬品など、品質が低下しやすいものは専用の設備が整った場所で保管します。

ピッキング

「ピッキング」は、出荷伝票に従い対象の商品を棚から取り出して集めてくることです。集められた商品は、種類や配送ルート別に分類します。正確性が求められる出荷の第一段階作業です。

ピッキングの方法は大きく分けて2つの方式があります。
●摘み取り式…出荷先ごとに商品をピックアップ
●種まき式…まとめて商品を取り出し出荷先ごとに仕分けする

摘み取り式は、注文数が少なく商品の種類が多い場合に便利です。一方で種まき式は、商品の種類が少なく出荷先が多い場合に適しています。

現在富士ロジテックホールディングスでは、ピッキングの最新設備として音声ガイダンス、無線ハンディでのオペレーションを提供するWMS「VIPS」を導入しています。

VIPSを利用することで、リストやハンディターミナルで聞きながら立ち止まらずに作業可能です。VIPS」の導入で、生産性が1.4倍にアップしたという事例もあり作業効率化と品質向上、スタッフ研修に役立っています。また、無駄を洗い出し継続的な改善活動にも成果をあげています。

【参考:音声検品対応WMS「VIPS」ページを追加しました

流通加工

依頼主の指示に従い商品を加工します。例えば、畳まれて入荷した洋服にアイロンを施しハンガー掛けしたり、値札やタグを付けたりする作業です。

また、商品を顧客のニーズに合わせて小分けにしてパッケージ詰めします。

検品

「検品」は、出荷する商品の品質をチェックする業務です。破損や汚れ、品質が低下していないか確認します。

また数量チェックも大事な業務です。出荷指示に従い正しい数で出荷しなければ納品先に迷惑がかかりますし、万が一間違えた場合は品質低下のリスクもあるでしょう。

ミスが生じると信用問題に関わりますので、バーコードをスキャンすれば簡単に管理できるようシステム化しているところも少なくありません。

梱包・包装

次に、検品が終わった商品を依頼主のニーズに合わせパッケージします。例えば、小さな小物を幾つかに分けてパック詰めしたり、季節に合わせた袋に入れたりする作業です。

プレゼントやお歳暮用に包装することもあります。

包装したものは、輸送時の落下や衝撃から商品を守るためダンボールやエアキャップ、クッション材を使い梱包します。

富士ロジテックホールディングスでは、「仕分け梱包」という作業について、ロボット活用の取り組みとして「t-Sort」というソーティングロボットを導入しています。

「t-Sort」とは、小型の無人搬送車(AGV)により物品を搬送し、少人数・短期間・大量の仕分け作業を実現する「全設備可動式の次世代型ソーターシステム」です。

もっとも労力のかかる商品の仕分け行為に注力をし、作業を効率化しています。
【参考:東名厚木物流センターにソーティングロボット「t-Sort」を導入しました。

出荷

いよいよ最後の工程「出荷」です。出荷前は、誤配を防ぐためにさらに検品を行います。

数量や納品先に間違いがないか慎重にチェックしてトラックへ積み込み、最終目的地へ運ばれます。

ここまでが物流センターの一連の業務です。

物流センターの管理運営

物流業界の求人でよく目にする「物流センターの管理運営」ですが、どのような業務内容か気になっている方も多いのではないでしょうか。

「物流センターの管理運営」は、大きく言えば物流センター内の責任者として「人」と「モノ」を管理する仕事です。例えば以下のような業務があります。

●採算管理・分析・物流センター立上げ
●商品の品質管理・在庫管理
●物流センター内人材管理・作業管理や育成

物流センター内の限られたスペースをいかに効率的に活用するかの立案や、無駄な在庫を抱えないための在庫管理、一緒に働くパートさんの管理などを担います。

人とモノを管理する仕事ですから業務内容は幅広く、キャリアを積めば「物流工程改善に向けた企画立案・運営」や物流センター立ち上げに携わることも。

物流センターの業務を効率的かつ正確に、スムーズに遂行するために重要なポジションです。

ECサイト事業が爆発的に成長する中、今後物流センターのニーズも高まる一方です。物流センター内を管理する業務の経験やスキルは、転職にも役立つでしょう。

まとめ

本記事では、物流センターの機能と役割、業務内容について解説しました。物流センターは、ただの倉庫ではないことをご理解いただけたと思います。

高度なシステムを導入し、入荷から出荷までを一貫して担う物流センターは、すべての業務が効率化され、自社で物流を導入できない企業にとってなくてはならない存在です。最新機器も次々に登場し、こうしている現在も物流センターは進化し続けています。

AIを活用した物流センターは、今までの倉庫業務とはかけ離れた存在だと思いますので、物流業界に興味のある方は、当ブログを運営する富士ロジテックホールディングスに是非ご応募下さい。

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