物流は経済活動や私たちの生活を支える社会インフラですが、それを支える重要な拠点が物流倉庫です。

「物流倉庫というとどんなことをイメージしますか?」と質問すると、多くの場合フォークリフト、ダンボール、トラック、荷物の積み下ろしと言った答えが返ってきます。重ねて「物流倉庫と倉庫の違いは?」と尋ねると、答えに窮する方が大半です。

物流倉庫の役割や活用メリットについて、深く理解できている方は少ないでしょう。

そこでこの記事では、物流倉庫の役割と活用メリットを、実際に物流サービスを提供する現場の様子などを交えて解説していきます。

物流倉庫の役割

物流倉庫は商品特性に応じた保管・入出庫のみならず、流通加工や検品等の付加価値サービスを提供する場所として進化しています。単なる作業ではなく、企業成長を支援する機能として存在しているのです。

物流倉庫には①輸配送、②保管、③荷役、④包装、⑤流通加工、⑥情報管理の6つの機能があります。それぞれの機能が連携してこそ、高い物流サービスが実現されるのです。

①輸配送                                            

トラック、船、飛行機、鉄道などの輸送機関を使いモノを移動させる。
長距離大量移動が「輸送」で、近距離小口移動が「配送」。

②保管

物流センター内で商品価値・品質を維持し適切な方法で保管する。生鮮食品や医薬品など、品質が変わりやすいものは特に注意して冷蔵・冷凍倉庫などで保管。

③荷役

物流センター内外で荷物を運搬する。荷揃え、荷積み、運搬、棚入れ、仕分け、ピッキング(集荷)など。

④包装

製品の価値を上げるために包装、また輸送中の破損や傷を防ぐために梱包する。

⑤流通加工

顧客ニーズに合わせパッキングしたりラベルの張りかえ、値札付けを行う。商品に付加価値をつける作業。

⑥情報管理

大量のモノをミスなく管理するため情報システムを導入し、受注から棚卸し、在庫数、出荷時間、配送日、賞味期限、トラックの位置情報などすべてを管理。蓄積したデータはビッグデータとして物流改善の分析に役立てる。

昨今、物流倉庫はただモノを保管するだけではなく「ロジスティクス=企業内物流の最適化」という考え方が浸透し、SCM(サプライチェーンマネジメント)プロセスの一部として捉えられています。

物流倉庫活用のメリット

次に物流倉庫を活用するメリットを解説します。

物流業務を委託してコスト削減・業務効率化

システム化された物流倉庫を活用すれば、荷主企業にとって、物流コスト削減と業務効率化が可能になります。

かつて、自社で製造した製品は、自社の倉庫で管理し配送まで行っていました。しかし、倉庫を持つと、設備費や維持費、人件費、光熱費がかかります。さらに盗難の心配や誤配送などのトラブルも多く「物流=コストセンター」と言われていました。

顧客のニーズに応えるほど、多頻度小口配送になりトラックの積載率が低下、物流コストが企業経営を圧迫している状態だったのです。

そこで多くの企業が物流のコスト削減、効率化に着目し、システム化やロボットの導入などを進めます。とはいえ、これらを実現するには莫大な資金が必要ですから中小企業では到底対応できません。

そこで、流入してきたのが、荷主企業の物流部門のすべての機能を包括的に請け負う3PL(サードパーティーロジスティクス)です。

物流6大機能を外部に委託し、円滑に進めることで、製造業は製品をはだかのまま出荷することができ、物流にかかる負担とコストを大幅に削減できるようになりました。

サービス品質の向上

さらに、物流倉庫の活用で、荷主企業だけでは対応できなかった顧客ニーズに応えることが可能になり、サービス品質が向上しました。

例えば、成長著しいEC市場では、物流業務がコア業務を圧迫している状況が大きな課題でした。EC事業で一番手間と時間とコストがかかる部分は、実は物流なのです。

入荷した商品の検品から、棚積み、ピッキング、梱包作業は、手間と人件費がかかります。クリスマスやバレンタイン時期などはプレゼント包装の負担が、社員に大きくのしかかっていました。

さらに、システム化されていない自社での物流業務は、在庫切れ、誤出荷、検品不足が多く、それによる返品交換作業は、無駄なコストを生み利益がでないことも少なくありません。

これら業務を物流倉庫へ委託すれば、「早く届けて欲しい」「プレゼント包装希望」「それぞれ個別に包装して欲しい」という顧客のニーズにも対応でき、サービス品質が大きく向上します。

それによって消費者からの満足度や評価が高まり、リピートや新規注文を獲得する機会が増えるはずです。

最近は、物流機能を強化するEC企業が増加し、受注から梱包発送、在庫管理、返品交換まで一貫して請け負う「通販物流」へのニーズが高まっています。

商品価値が上がる

先ほど物流の6大機能を解説しましたが、これらは単なる作業ではありません。

商品を適切な方法で保管し、流通加工して出荷することで、商品価値を高め、企業イメージをアップさせることが可能です。

例えば、6大機能の中の④包装は、消費者の購入を促すための色やデザインを工夫したラッピングも含まれます。多少コストがかかっても、購買層を引きつけるような包装をすれば商品価値は上がり、売上アップにつながります。

また、⑤流通加工では、消費者が手に取りやすいようなパッケージすることで、買いやすくなりますよね。

このように、消費者の利便性に合わせてモノの形を成形・加工することで、商品の付加価値を高めることができるのです。

富士ロジテックグループの物流サービス

当ブログを運営する富士ロジテックグループは静岡と東京に本社、ロジスティクスとテクノロジーの融合による物流サービスを提供しています。

静岡県中東部に複数拠点を構え、高速インターチェンジへのアクセスが最適な浜松・袋井流通センターでは、日用雑貨・アパレル・化粧品・自動車部品・機密機器等、多岐に渡る取り扱い実績があります。BtoBだけでなくBtoC物流(通販等)も得意分野です。

商品特性にマッチした保管場所の提供や流通加工、品質検品など、効率的で高品質な物流サービスを展開。RFID(ICタグ)や音声検品、シャッターアソートシステム等各種マテハンを導入し、迅速で正確な業務を提供しています。

富士ロジテックグループの倉庫サービス

物流倉庫での主な仕事

ここまで物流倉庫の役割や活用するメリットについて解説しましたが、実際にどのような業務があるか、ピンとこない方も多いでしょう。

この項では、物流倉庫内ので主な業務を、物流企業である当社「富士ロジテック」の作業現場を紹介しながら解説していきます。

入出庫作業

入出庫作業は、輸送されてきた貨物が物流センターに到着、出庫するまでの作業です。まず、入庫では、トラックからの積み下ろし、検品、棚入れなどを行います。出庫では、出荷指示に従い商品をピッキング、検品後、梱包、トラックに積み上げ、出庫するまでの作業です。

入出庫では、取扱商品に適した作業機器(クランプフォークリフト、ガントリークレーン、天井クレーン、ショベルカー等)を使用し、効率的かつ安全な作業が求められます。

商品の品質を保持しつつ、スピードと正確性が必要ですから、作業効率と生産性がアップするマテハン機器が不可欠です。

保管業務

保管はただモノを置いておくだけではありません。商品の品質を低下させないような環境が必要です。

ドライ(常温)倉庫・温度帯管理倉庫(高温・定温・低温・冷蔵)だけでなく、天井クレーン付き倉庫・野積み等、多種多様な倉庫を所有している当社では、商品特性にマッチした保管場所の提供が可能となっています。

また、保管にはもう1つ目的があります。在庫管理です。

ジャストインタイム(必要なときに必要なだけ供給する仕組み)に対応するには、保管効率を念頭におきながら在庫量を適正に調整する必要があります。

流通加工

前述したように流通加工は、商品価値を高める作業です。当社の場合、以下のような作業内容がメインとなっています。

検品及び検査

顧客設定基準に基づき商品の検査・精密機器の動作確認も含める。

組立・組み付け

顧客手順書に基づき商品の組み立てを行う。

補修・簡易修繕

アパレル商品の補修等、モノグラミングマシンによる刺繍。

検針

アパレル・寝具等に針が混在していないか、検針機、X線検針機を使用して検査。

タグ付け、ラベル貼り

衣料品の洗濯表示やサイズネーム等を取り付け。

セット組み作業(アソート作業)

複数の商品を顧客指示にて取り纏め、贈答品や福袋等の詰め合わせを行う。

小分け作業

大容量の容器から、販売に適した大きさの容器への詰め替え作業など。

梱包、封入作業

顧客の要望に合わせて梱包。

専用伝票作成・封入

顧客指定の専用伝票を作成。

多くの消費者は、これらの加工は製造工場で行われているものと考えますが、最近ではすべて物流倉庫で行われているのです。当社では、アパレル・食品・日用雑貨品・精密機器・通信機器・PC・医療機器まで幅広い商品への実績を有しています。

品質検査

品質検査は、検品よりも高度な検査で顧客の仕様書に基づいて外観検品・品質検品・動作確認等を行う作業です。

例えば化粧品の箱に少しでも凹みや汚れがあれば、中の商品が大丈夫でも消費者の印象は悪くなり商品価値が下がってしまいます。

このような事態を避けるために、細心の注意を払い品質検査を行います。

具体的には、アパレル(検針・X線検針・縫製・返品商品検品・表示タグ類確認)、食品(輸入ビン詰めの打検・穀類の保管品質検査等)、日用雑貨品(返品商品検品)、精密機器(機能・動作確認)・通信機器(機能・動作確認)・PC(動作確認)などの作業です。

倉庫の管理業務

物流倉庫の一連の業務を円滑におこうためには、モノと人を管理する倉庫の管理業務も重要な仕事です。

倉庫内の人やモノの配置を考え効率化を図る、無駄のない在庫管理など、倉庫業務全般を指します。倉庫管理を徹底して行えば、倉庫内で働く人たちの効率が上がり、生産性がアップ。誤出荷や出荷時間の遅延を防げるでしょう。

物流倉庫に置いて非常に重要なポジションであるとともに、新しい物流の設計や企画提案にも積極的に関れるやりがいのある職種です。

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