物流業界には「3PL」や「4PL」という言葉があります。
3PLは「Third Party Logistics:サード・パーティ・ロジスティクス」、4PLは「Fourth Party Logistics:フォース・パーティ・ロジスティクス」のことで、どちらも物流の課題や問題を解決するためのサービス・ビジネスモデルとなっています。
特に4PLは現代の物流問題を解決するビジネスモデルと言われており、物流業界の新しいトレンドとして注目されています。
本記事では3PLや4PLの特徴、メリット・デメリットなどを紹介しながら、両者の違いについて解説していきます。
3PLとは?
3PLとは、Third Party Logistics:サード・パーティ・ロジスティクスの頭文字を取った言葉で、「スリーピーエル」「サンピーエル」と呼ばれています。
JIS(日本工業規格)Z0111:2006では下記のように定義されています。
荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクス
を代行するサービス。倉庫,車両などの施設・設備がなくても事
業化できる運営ノウハウをもとに,情報システム及び業務改革の
提案を中心に長期的な管理目標を定め,達成した改善利益の配分
を受けるものであるが,物流事業者が荷主企業のアウトソーシン
グニーズに広範に対応して一括受注するケースも含まれる。
引用元: 3PL JIS規格
3PLとは簡単に言うと「荷主企業に代わって荷主以外の業者が物流業務を代行すること」で、物流システムの構築から運営までを「物流業務の機能を持った専門業者」が担います。単なる保管や配送の代行だけではなく、物流効率を上げるための様々な提案ができることも特徴です。
3PLにはアセット型とノンアセット型があります。「アセット」とは資産という意味があり、物流業界においては倉庫・運送車両・情報システム等の物流資産を表します。それぞれの違いを確認してみましょう。
アセット型
アセット型とは、自社の物流拠点でのトラック車両、情報システムなどを使って物流サービスを提供する業態です。日本で最も多い3PLの形です。自社でトラックや倉庫を保有しているため作業に融通が利きます。
ノンアセット型
ノンアセット型とは、トラックなどのハード資産を保有せず業務を遂行する業態です。物流業務を外部の輸送業者や倉庫業者に委託し荷主のニーズにあった提案を自由に設計できます。
パートナー企業の得意分野の設備を活用しますので、荷主の求めるレベルに対応できる業者を選定できる点がメリットです。
3PLのメリット
次に3PLのメリットについて解説します。
コア業務への注力
3PLを活用することで、今まで物流業務に割いていた経営資源(ヒト・モノ・カネ)をコア業務に集中させることができます。
ノンコア業務の物流に当てられていた人員リソースをコア業務に回すことで、ビジネス拡大の促進や業務効率化につながります。
コストの最適化
物流業務を専門家に委託すれば、作業品質と生産性が向上しコストの最適化が可能です。荷主企業は物流システムを自社で所有する必要がなくなりますので、これまで負担してきた保管費、荷役費、運送費といった物流コストを削減できます。
業務品質の向上
3PL業者の物流機能やノウハウを利用することで、業務品質向上につながることも大きなメリットです。
商品を正確かつスピーディーに顧客に届けるには、整った物流システムの構築とスキルが必要です。しかし、荷主企業がそれらを整備するには莫大な導入費と人材育成が大きなハードルとなります。
物流のプロである3PL業者に任せれば配送ミスを防止し、納品リードタイムの短縮、多品種小ロットや多頻度納入にも対応可能になるなど物流品質向上につながります。
3PLのデメリット・注意点
3PLは業務効率化や生産性向上に有効ですが、下記のようなデメリットや注意点もあります。
自社にノウハウを蓄積できない
3PLはコア業務に集中できるというメリットがある一方で、物流機能やノウハウが蓄積されないという点がデメリットになります。
業務内容や管理方法、クレームやトラブルの対応が自社に蓄積されないため、今後も物流業務を3PL業者に頼ることになります。自社で内製化できる規模の大企業では、大きなデメリットになるでしょう。
3PL事業者とのコミュニケーションが難しい
3PLで成果をあげるには、物流業者と荷主企業が円滑にコミュニケーションを取ることが重要です。荷主企業が抱える課題や事業計画を共有するために、正確に物流業者に伝える必要があります。しかし、荷主企業は物流のプロではありませんので、意思疎通が取れず思うような結果がでないことも少なくありません。
窓口となる担当者と密にコミュニケーションを取り、お互いに状況を把握しながら改善策を共有することが重要です。
4PLとは?
4PL(Fourth Party Logistics)とは3PLにロジスティクス戦略の企画提案、コンサルティングの要素をプラスしたビジネスモデルです。
4PL業者は物流機能を担うだけでなく、複数の3PL業者とやりとりしながら、荷主企業の実情に最適な提案・企業課題解決へ導きます。
4PLが注目される背景
3PLの導入は業務効率化やコスト削減に有効ですが、一方で3PLを拡大していくと余剰社員を抱え込んだり、過剰設備などのリスクもあります。
3PLを導入し物流業務を拡大するだけで利益率が向上するわけではないため、慎重性が必要です。
また3PL業者は、荷主の物流費が売上に直結するため、コスト削減を提案しづらい傾向にあります。そこで、こういった課題を解決すべく注目されているのが4PLです。
4PLは自社の物流スキルやノウハウを提供することがメインですから、コンサルタント料やアドバイザー料で成り立つビジネスです。荷主の物流コストを削減しても自社の売上に影響しませんので、荷主にとって最良の提案が可能です。
ノウハウ豊富な4PL業者が物流業務に関するコンサルティングを担えば、物流面だけでなく経営面の改善も期待できます。
以上の理由から、4PLは物流ビジネスの新しいトレンドとなっており、これからの物流業界にとって非常に重要な立ち位置になると注目されています。
3PLと4PLの違い
3PLと4PLの大きな違いは「物流コスト」に対する考え方です。3PL業者は荷主の物流コストが大きな売上となりますので、積極的にコスト削減を提案しづらい部分があります。しかし、4PL業者の売上はコンサルタント料の比重が大きいため、荷主企業の物流コスト削減を重視した提案が可能です。
近年では5PLも
近年では5PLも新しいビジネスモデルとして注目されています。5PLとは4PLにAIなど最新のテクノロジーが加わったものです。AIや自動運転を活用することで、物流業務の効率化や人手不足の解消を図ります。
まとめ
3PLは荷主企業の物流課題を解決し、業務効率化や生産性向上の推進につながります。一方で、3PL業者の売上は荷主企業の物流費に基づいているため、コスト削減の提案がしづらい点がデメリットです。
そこで、4PL業者が物流業務の最適化を提案することで、荷主企業側から見て経営面の改善や物流コストの削減を期待できます。また、ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントのスキルやノウハウを持つ物流企業は、4PLとして新たなビジネスモデルとして展開していくことが可能です。
当ブログを運営する富士ロジテックホールディングスでも、企業のサプライチェーン全体の最適化に向けた3PLサービスを提供しています。ロジスティクスの仕組みの変更をコスト削減につなげる、継続的な改善活動に取り組んでいます。
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