物流の現場でよく使われる言葉に「バッチ」があります。バッチピッキングやバッチ切りといった使われ方をしますが、そもそもバッチとはどのような意味があるのでしょうか。

本記事では、物流における「バッチ」の意味を作業ごとに解説していきます。

物流における「バッチ」とは?

「バッチ」という言葉は、元々は「ひと束」「一群」「一団」という意味で、英語の「Batch」が語源となっています。

物流においては、出荷作業情報等を一定時間の単位で分割し、その時間までに入力された情報をためて一括でWMS(倉庫管理システム)に送信する方法のタイミングをさします。

このような一定量のデータを集め、一括処理する方法を「バッチ処理」と呼んでいます。

出荷情報などの業務データをその都度送信していては非効率であるため、ある程度量がたまった段階で処理することで、業務効率を上げる目的があります。

タスクをまとめて処理することが「バッチ処理」、物を一つにまとめることが「バッチ」です。

バッチ処理の対義語は、「リアルタイム処理」といい、リアルタイムでシステムを処理していく方法です。

身近な例で言うと、経理で日々データを打ち込みシステムに反映させるのがリアルタイム処理で、日次データを月末に集計処理して税理士事務所などに送信するのがバッチ処理となります。

作業ごとのバッチの意味

ここからは、作業ごとのバッチの意味を解説します。物流現場でよく耳にする言葉ですから、覚えておきましょう。

バッチピッキング

バッチピッキングとは、トータルピッキングの別名です。一定期間または一定数、オーダをまとめて処理することです。まとめる単位は、時間、アイテム別、出荷先別など、企業によってさまざまです。

バッチごとにまとめてピッキングするため、工数を減らすことが可能です。出荷頻度に応じたロケーション配置にすることで、スペースの削減や作業員の移動距離・時間を効率化できます。

バッチピッキングは、倉庫内の在庫スペースが広く、出荷先が少ない場合に向いています。

バッチ切り

バッチ切りとは、物流倉庫にある在庫をバッチ単位でピックアップし、仕分する方法です。出荷数が多い場合、全てに対して仕分けすることになれば、スペースが必要です。しかし、出荷先企業や1日の締め時間など、一定の単位で仕分けすることでスペースの節約になり、作業効率も上がります。

倉庫や出荷数の状況により、総出荷数をバッチ単位に仕分することをバッチ切りといいます。

出荷バッチ

出荷バッチとは、出荷データをバッチごとに分けて一括送信する方法です。例えば、12時までに受注を締めて、物流倉庫のWMS(倉庫管理システム)へ13時に送信する…というような方法になります。

このように時間で出荷データを区切れば、1日に何度も出荷でき、トラックの積載率や作業効率が上がります。

バッチ式輸送

バッチ式輸送とは、粉粒体をコンテナ、袋、バルクローリーなどに入れて輸送する方法です。

セメントや小麦、業務用複写機などで使用するトナー、飼料など、通常の方法では運搬できないものを袋やコンテナなどでバッチごとに分けて輸送する方法です。

輸送する品物に適した運搬車を使用することで、品質を保ちながら長距離移動が可能となります。

物流でバッチを用いるメリット

物流でバッチを用いるメリットは、一括処理によって作業効率がアップすることです。例えば出荷の場合、注文が入るごとに倉庫へ情報を送り、その都度処理するよりも、時間で区切ってまとめる方が工数が少なくなり効率的です。

また、バッチ切りで解説したようにピッキングも商品や出荷先ごとにまとめることで、ミスや誤出荷を減らし、合理的に作業を進めることができるでしょう。

このように、バラバラのものを一括処理するバッチは、物流において欠かせない処理方法となっています。

物流でバッチを用いるデメリット・課題

バッチのメリットは、まとめることで工数を減らせることですが、あまりに作業量が多いと、かえって作業効率が落ちてしまう可能性があります。

例えば、バッチ切りで締める時間が多ければ、結局は何度も同じ作業を繰り返すことになり、業務が追いつかない場合もあるでしょう。このような状態になれば、出荷が遅れたり、人員が不足したりと非効率です。

また、仕分の現場では、まとまった数に対応できる作業場所の確保が必要になります。倉庫によっては、広範囲にわたってアイテムをピッキングすることになる点もデメリットです。アイテムごとの出荷頻度をチェックし、商品をどの棚に保管すると歩数を削減できるかなどを考え、ロケーションを改善する必要があります。

このように、バッチを用いる際は業務効率が低下しない範囲を見極め、無駄なく進められる状態をキープすることが大切です。

まとめ~バッチは効率化のための一手段~

本記事では、物流における作業ごとのバッチの意味を解説しました。日々多くの荷物を取り扱う物流現場では、いかに作業効率や生産性を上げるかが課題となっています。

各現場でバッチを用いることで、作業員の工数が減り、作業効率が格段に向上します。しかし、場合によっては作業工程が増えるなど非効率になる恐れもあるため、様々な条件の中でシミュレーションをしていく必要があります。

このように物流業界では、さまざまな方法を活用して、消費者へ安全に必要なものを届ける役割を遂行しています。

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